日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハンガリー狂詩曲」の意味・わかりやすい解説
ハンガリー狂詩曲
はんがりーきょうしきょく
Ungarische Rhapsodien
リストがハンガリーの民族音楽の旋律に基づき1839年から85年にかけて作曲した一連のピアノ独奏曲。全部で19曲を数えるが、曲集として出版されたのはそのうちの15曲であり、「ペストの町の謝肉祭」や「ラコッツィ行進曲」などの有名な小品が含まれている。リストは幼年時代ハンガリーの片田舎(いなか)に住んでいたので、母国の民族音楽やロマ(かつてはジプシーとよばれた)の音楽に終生愛着をもち続け、緩やかな導入部と速いテンポの主部からなるチャールダーシュ舞曲の形式を多く用いて、独特なリズムをもつこれらの狂詩曲を書いた。なお、大部分は四手のピアノ連弾用、また管弦楽用に編曲され、彼の代表作として広く親しまれているが、第二番嬰(えい)ハ短調(1847)がもっとも有名である。
[三宅幸夫]