ハンサー(読み)はんさー(英語表記)al-Khansā'

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハンサー」の意味・わかりやすい解説

ハンサー
はんさー
al-Khansā'
(575ころ―645ころ)

古代アラビアの女流追悼詩人。ハンサーとは「野生牝牛(めうし)」の意であだ名である。殺された2人の兄弟の追悼詩をつくり、部族報復を遂げるべきことを訴えた。イスラム教徒となり預言者ムハンマド(マホメット)のところへいくが、彼は彼女の詩にひどく感動したといわれる。4人の息子をペルシア軍との戦いに参加させ、すべてを失ったが悲しまなかったと伝えられる。

[内記良一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハンサー」の意味・わかりやすい解説

ハンサー
al-Khansā'

[生]?
[没]645頃
アラビアの女流詩人。本名トゥマーディル Tumādir。アラブ族の生んだ最も偉大な女流詩人の一人とされている。哀歌において不朽の絶唱を残したが,特に早く世を去ったムアーウィヤとサハルという名の2人の兄弟を追悼した詩が世に親しまれている。

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