改訂新版 世界大百科事典 「バゾフ」の意味・わかりやすい解説
バゾフ
Ivan Minchov Vazov
生没年:1850-1921
ブルガリアの作家。ソポトの商家に生まれ,商売の勉強に送られたルーマニアで民族解放運動家たちと知り合い,強い影響を受けた。〈四月蜂起〉失敗後ブカレストに亡命したが,1878年オスマン・トルコの支配からブルガリアが解放されると,以後活発な文学活動を展開,文部大臣も務めた。解放前から詩を書いていたが,詩のほか小説や戯曲などあらゆる分野で文才を発揮,国民文学の父と呼ばれている。レフスキら〈復興〉期に活躍した人々を歌った《忘れられた人たちの歌》(1884),ルーマニアでの解放運動家たちを描いた中編《寄る辺なき人々》(1884)などが有名だが,とくに〈四月蜂起〉を扱った《軛(くびき)の下で》(1890)は世界文学の古典に数えられ,邦訳も含め多くの外国語に訳されている。
執筆者:松永 綠彌
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報