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民族解放運動 みんぞくかいほううんどうnational liberation movement

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

民族解放運動
みんぞくかいほううんどう
national liberation movement

民族自決の理念に基づき,特に植民地支配を受けている地域で民族の自由と独立を求めて戦われる運動。民族独立運動ともいう。 19世紀末頃から世界各地でみられたが,第1次世界大戦を経て多くの従属国や植民地で高まりをみせ,第2次世界大戦後には飛躍的な発展をとげた。この運動は民族の自由と独立,すなわち民族の解放を高く掲げ,一般民衆のいわゆる「人民の大海」のなかに基盤をおき,圧倒的に優勢な外国軍隊に対しては,不服従,サボタージュ,ゲリラ戦など,さまざまな形態によって抵抗を拡大した。このような動きに対しイギリスはおおむね独立を許容する方針をとり,融和策をとることで政権の漸次移譲をはかった (インド,ビルマなど) が,フランスやオランダなどは武力による民族解放運動の抑圧に乗出し,ベトナム,インドネシア,アルジェリアなど,各地で激しい戦闘が続いた。第2次世界大戦後,民族解放運動は政治的独立の獲得という点では大きな成果を収めたが,新興独立国のなかにはなお経済的自立の達成が十分でない国も多い。特に旧支配国と結んで一部の特権階級が利をむさぼるようになると,大衆のなかの鬱積した不満を組織化した政治グループは再び「民族解放」のスローガンを前面に押出すようになり,急進的な改革を唱える社会主義と結びつく傾向が強い。

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デジタル大辞泉の解説

みんぞく‐かいほううんどう〔‐カイハウウンドウ〕【民族解放運動】

植民地従属国などで、抑圧されている民族が、他民族・他国家の支配・干渉を排除して、民族の独立を実現しようとする運動。19世紀の欧米諸国に起こり、第二次大戦後のアジア・アフリカ諸国で広く行われた。また、一国内の少数民族が多数民族からの解放を求める運動についてもいう。

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大辞林 第三版の解説

みんぞくかいほううんどう【民族解放運動】

一九世紀後半以降、植民地・従属国などが帝国主義国の支配・干渉を排除し、自由・独立を目指して展開してきた運動。
被圧迫民族がその解放を求め、民族の独立と統一を達成しようとする運動。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

民族解放運動
みんぞくかいほううんどう
national liberation movement

ある民族が他民族の抑圧下に置かれている場合、あるいは侵略を受けた場合、民族という名において抑圧・侵略などの苦難から解放されようとする運動。したがって、苦難の種類・程度によって、および民族意識の内容、さらに国際的環境などによって、その運動形態はさまざまであり、また、その国際的役割も異なっている。
 18世紀末に現れたナショナリズムは、民族解放運動の面をもっている。民族の独立や統一を求める運動が、民族解放という呼称をもったのは、ナポレオンの侵略戦争に対する諸民族の解放戦争に始まる。しかし、この時代のナショナリズムは、民族の目標を独立あるいは統一に置き、民族を国家に編成することを課題とするものであった。その意味では、国際社会全体の抑圧・被抑圧の関係からの解放を課題とするものではなかった。19世紀の後半、いわゆる帝国主義時代が開幕すると、全世界的に従属的諸地域の範囲が広まり、反帝国主義的な民族運動もまた世界大に広まった。このような民族解放運動の展開と資本主義諸国の社会革命運動との関係が問題とされた。この点で、レーニンなどは両者の関係についてだれよりも整合的な理論をたてたが、しかし、その理論と、ロシア革命後の社会主義国とアジア諸地域の民族運動との関係の実態との間には、大きい矛盾があり、それぞれの歩みは調和的ではなかった。
 第二次世界大戦以後、アジア・アフリカなどで民族運動が高まり、ほとんどすべての植民地が独立した。この経過において運動主体の側では民族の解放を名のったものも多い。民族解放戦線という呼称は、第二次大戦中の枢軸諸国の侵略を受けた諸国の抵抗組織に多くみられたが、アルジェリアの民族解放戦線など第二次大戦以後の独立闘争組織にも民族解放戦線の名を冠するものが多数ある。これらのなかでもっとも組織性と戦闘性を発揮したのはベトナムにおける民族解放戦線である。ベトナム戦争以後も第三世界には、形式的には国家として独立しているが、なお大国からの圧迫や侵略に苦しむ民族が少なくなく、民族解放運動が依然課題となっている。しかし、最近では民族解放の問題は、南北問題とよばれる国際的な経済格差の問題と絡んで、複雑な様相をみせている。[斉藤 孝]

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