改訂新版 世界大百科事典 「バブリオス」の意味・わかりやすい解説
バブリオス
Babrios
ギリシアの寓話詩人。生没年,伝記は不詳。たぶんギリシア化したローマ人で,韻律と言語の分析から2世紀ごろの人と推定される。《イソップ物語》をコリアンボス調の詩文に直した。〈軽率な夫婦〉など幾編かの新しい寓話を付加したが自作かどうか明らかでない。作品は10巻から成っていたらしい。1843年にギリシア人M.メナスがアトス山のラウラ修道院で2巻本を発見,123編の作品を含み,アルファベット順に配列されているが,Oでとぎれている。その後さらに6編がバチカン図書館で発見された。文体は日常語を駆使した軽い調子で,散文のような趣を示し,寓話の本質によく合致している。詩型は,言葉のアクセントに考慮が払われ,ギリシアの詩において徐々に発展しはじめていたアクセントの原理による。彼の寓話詩は古代において広く流布し,また中世期には,韻文と散文の改作によって親しまれた。
執筆者:高橋 通男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報