日本大百科全書(ニッポニカ) 「バラフエダイ」の意味・わかりやすい解説
バラフエダイ
ばらふえだい / 薔薇笛鯛
twospot red snapper
[学] Lutjanus bohar
硬骨魚綱スズキ目フエダイ科に属する海水魚。静岡県沿岸から南西諸島、小笠原(おがさわら)諸島、硫黄島(いおうとう)、沖ノ鳥島、南シナ海、西太平洋、ミクロネシア、ポリネシア、インド洋に広く分布する。体は長楕円(ちょうだえん)形。口は大きく、吻(ふん)は突出する。犬歯は上顎(じょうがく)前部に1、2対あるが、下顎にはない。両顎側部には1列のやや大きい円錐歯(えんすいし)がある。両鼻孔(びこう)は眼前にある深い溝の中に開口する。側線より上方の縦列鱗(りん)は斜め上後方に向かうが、側線下方の鱗(うろこ)は体軸に平行に走る。体は紫褐色で、腹部は淡紫褐色、各鱗列の間を水平に暗色帯が走る。尾びれの上下縁は暗色で、後縁は白い。胸びれの背縁は黒い。若魚や一部の成魚には背びれと側線の間に二つの乳白色斑点(はんてん)があり、前のものは背びれの中央部下、後のものは背びれ後端基部の下にある。最大全長は約100センチメートル。50センチメートルほどで成熟する。沿岸の岩礁やサンゴ礁域に生息する。魚類、甲殻類、巻き貝類などを食べる。熱帯域では一年中産卵する。寿命は13年ほど。一本釣り、追込み網、刺網(さしあみ)などで漁獲される。大きな個体は西太平洋の島々ではシガテラ中毒をおこすことがある。南西諸島などではあまり食用とせず、練り製品の混用材料とする。沖縄ではアカナーとよぶ。
[赤崎正人・尼岡邦夫 2017年4月18日]