バルカン砲(読み)ばるかんほう(英語表記)Vulcan gun

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バルカン砲」の意味・わかりやすい解説

バルカン砲
ばるかんほう
Vulcan gun

電気モーターまたは油圧を利用して6本の銃身を回転させながら発射する航空機関砲。正式には20ミリM61マシンガンという。口径20ミリ、電動式は1分間4000発、油圧駆動式は1分間6000発の驚異的な発射速度をもつ。単銃身の発射速度には機構上限度がある(最大約1000発/分)ことから、アメリカ空軍は音速以上のジェット戦闘機用兵器として、1893年にリチャード・ガットリングが発明した電動の多銃身回転式機関銃の原理もとに開発(バルカン計画)して1961年に採用した。現在では多銃身機関銃の一般名称となっている。束ねられた6本の銃身は軸の周囲を1回転する間に、それぞれが給弾・閉鎖・撃発・抽莢(ちゅうきょう)・排出の発射動作を行う。現在は航空機用のほか装甲車両や艦船にも搭載されて対空レーダー・コンピュータと連動し、捜索・探知・追尾・評価・発射などを自動的に行う対空火器主力となっている。口径7.62ミリの対地用機関銃もあり、ミニガンとよばれる。

[小橋良夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バルカン砲」の意味・わかりやすい解説

バルカン砲
バルカンほう
Vulcan automatic cannon

音速以上のジェット戦闘機でも使用できる対空,対地兵器としてアメリカ軍ガトリング機関銃の原理をもとに開発した機関砲。口径 20mmの銃身を6本束ねて回転させ,銃弾を連続的に発射する。発射速度は毎分 4000~6000発。現在は航空機用のほか,対空レーダやコンピュータと連動した艦船の対空戦システムにも組込まれている。バルカンはローマ神話の火の神の名称。

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