機関銃(読み)きかんじゅう(英語表記)machine gun

翻訳|machine gun

精選版 日本国語大辞典 「機関銃」の意味・読み・例文・類語

きかん‐じゅう キクヮン‥【機関銃】

〘名〙 射撃速度が速く、引きがねを引き続けると自動的、かつ連続的に弾丸が装填(そうてん)、発射される銃。大きさにより軽機関銃重機関銃にわけられる。また、口径により二〇ミリメートル以上を機関砲という。機銃。
風俗画報‐二九八号(1904)遼陽の大会戦「敵は〈略〉尚ほ盛に機関銃を以て撃ち続けて防戦す」

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デジタル大辞泉 「機関銃」の意味・読み・例文・類語

きかん‐じゅう〔キクワン‐〕【機関銃】

引き金を引き続けている間、弾丸を連続発射する銃。機銃。マシンガン
[類語]鉄砲銃器飛び道具ピストル短銃拳銃はじき機関砲小銃ライフル猟銃火縄銃散弾銃空気銃大砲迫撃砲ショットガンエアガンマシンガンカービン銃バズーカ砲ライフル銃ガス銃ガトリング銃カラシニコフ騎銃救難銃軽機関銃ゲベール銃高圧電流銃三八式歩兵銃実銃自動拳銃自動小銃重機関銃準空気銃水中銃スタンガンスナイドル銃短機関銃単身銃単発銃鳥銃二連銃村田銃モーゼル銃連発銃遊戯銃玩具銃模型銃光線銃水鉄砲豆鉄砲紙鉄砲威し鉄砲空鉄砲剣付き鉄砲竹鉄砲ふところ鉄砲山吹鉄砲トイガンモデルガンエアソフトガンエアライフルビームライフル

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「機関銃」の意味・わかりやすい解説

機関銃
きかんじゅう
machine gun

機関銃(マシンガン)は、小銃用の弾薬を使用し、引き金を引いている間、連続して弾丸を発射し続ける全自動連射(フルオートマチック)銃をいう。通常、三脚や二脚、車両や航空機などに装着し、安定させて使用・射撃する。機関銃とよばれるのは、小銃弾薬を使用する口径12ミリ程度のものまでで、それより大きな口径の弾薬を使用するものを機関砲とよぶ。全自動連射銃のなかで、小銃の形をしているものは、自動小銃(オートマチック・ライフル)とよび区別する。現代の軍用小銃のアサルトライフル(突撃銃)は、全自動発射できるが、自動小銃に区分されて機関銃とはよばない。また、拳銃(けんじゅう)弾薬を使用して全自動連射のできる銃は、サブマシンガン機関短銃マシンピストル)とよび、マシンガンと区別される。

[床井雅美]

機関銃の発展史

機関銃は、連発銃を開発するなかで発明された。初期の機関銃は、多数の銃身を並べて弾薬を装填(そうてん)射撃する形式をとるものが多かった。さまざまな形式が試されたが、初期の機関銃とよばれるものは、ハンドルを回したり、レバーを動かして弾薬の供給を行って連発する外力利用式機関銃だった。外力利用式機関銃の代表的なものに、機関部のハンドルを回転させて同心円に並べた銃身を回転させて連射するガットリングガン(ガットリング砲)、ガットリングガンとよく似た構造をもつホッチキス機関銃、2本の銃身を備えたガードナー機関銃、1本の銃身のアガー機関銃、水平に3~5本の銃身を並べたノーデンフェルト機関銃などがある。ガットリングガンは、アメリカのリチャード・J・ガットリング(1818―1903)が1861年に発明し、アメリカのコルト社によって製造された。現在も、航空機武装機関砲用や、対空機関砲として、ガットリングガンとよく似た構造の機関砲や機関銃が、高い連射の速度を得られるように電動モーター動力式に改良されて使用され続けている。ガットリングガンを除けば、外力利用機関銃は、続いて発明・開発された機械的に作動するより効率的な機関銃が出現すると、ほとんどが姿を消していった。

 機関銃の開発は、19世紀末ごろに薬莢(やっきょう)が発明されて一般化されると、自動装填式小銃や、自動装填式拳銃などの開発と並び、銃器発明者が競って研究する分野となった。初期の近代機関銃の開発で、とくに重要な働きを示したのは、アメリカ生まれでイギリスで活動していたハイラム・S・マキシム、パリで活動していた元アメリカ造兵廠(ぞうへいしょう)技術者ベンジャミン・A・ホッチキス、そして、アメリカ人ジョン・M・ブローニングの3名だった。彼ら以外にも、多くの技術者が各国で機関銃の開発を進めていたが、オーストリアのアンドレアス・シュワルツローゼやデンマークのW・O・マドセンなどのわずかな例外を除くと、営業的にもほとんど成功しなかった。

 マキシムの発明した機関銃は、発射する際に銃身に加わる反動を利用し、機関部内のシャクトリムシ型の遊底(ゆうてい)を前後動させ、発射済みの薬莢を排除し、続いてベルトで連結された弾薬を抜き取って銃身に送り、射撃を連続させる構造をもつ。

 ホッチキスの発明した機関銃は、発射する際のガスの一部を、銃身の途中から取り出してシリンダーに導き、このガスの圧力でピストンを動かし、機関部内の遊底を前後動させて、発射済みの薬莢を排除、続いて金属製のプレート上の弾薬を抜き取って銃身に送り込み、射撃を継続させる構造をもつ。

 ブローニングの機関銃も、発射する際の反動を利用する。わずかに後退する銃身で遊底を起動、前後動させて発射済みの薬莢を排除し、ベルトに連結された弾薬を銃身に送り込んで連射する構造をもつ。

 マキシムやブローニングが開発した構造のものを反動利用式機関銃とよび、ホッチキスの開発した構造のものをガス圧利用式機関銃とよぶ。現代の機関銃も、反動利用式か、ガス圧利用式の、二つの構造のどちらかで設計されている。

 第一次世界大戦が始まるまでに開発された機関銃は、長時間の射撃の放熱のため大きな冷却フィンや、水を入れる円筒型ケースを銃身の周囲に備えて重いため、三脚の上に装備させて防衛用に使用するのが普通だった。第一次世界大戦では兵士とともに射撃しながら前進できる軽量な機関銃が求められて製造された。これら機関銃は、従来の放熱効果のための銃身周囲の大型のフィンや水冷装置が省かれた。軽量化された機関銃は、軽量の二脚と取り扱いの楽な箱形弾倉を装備させた。従来の機関銃に対し、軽量の攻撃用機関銃は、軽機関銃(ライトマシンガン)と名づけられた。同時に、従来の三脚を装備した重い防衛用の機関銃は重機関銃とよばれるようになった。しかし、国によっては歩兵小銃弾薬より大口径の弾薬を使用するものを重機関銃とよぶ軍隊もある。

 ドイツは、第二次世界大戦になると、同じ機関銃の本体を利用し、防衛用と攻撃用に兼用できるMG34機関銃やMG42機関銃を製造し、戦線に投入した。組み合わせて多目的に使用できる機関銃は、システム機関銃と名づけられ、その後の機関銃の設計に大きな影響を与えた。MG42機関銃は生産技術的にも鋼板をプレス加工して多くの部品を製造し生産性が高められており、この点もその後の機関銃設計に大きな影響を与えた。

 初め歩兵用や艦載用として開発された機関銃だったが、その後自動車、戦車、航空機などが兵器として使用されるようになると、それらに搭載する改良型の機関銃が製作されるようになった。自動車、装甲車などに装備される機関銃を、車載機関銃という。航空機搭載用には、翼の中に固定してリモートコントロールで射撃する翼内固定航空機関銃と、操縦席や機体に装備して自由に向きを変えて射撃できる旋回航空機関銃がある。

 第二次世界大戦後、歩兵部隊の個人武装として、機関銃と同じ全自動連射のできる突撃銃が一般化した。このため、歩兵の最小単位である分隊にも、味方分隊を支援する軽量な機関銃が必要になった。この目的で開発された突撃銃の弾薬を使用する新型の軽量機関銃が、分隊支援火器、または分隊支援機関銃とよばれる。分隊支援機関銃は、第一次世界大戦中の軽機関銃と発想的に同じだが、兵士の負担を軽減させるため重量がはるかに軽く、一般兵士の持つ突撃銃の弾倉も使用できるよう工夫されている。

[床井雅美]

日本の機関銃の発展史

日本における機関銃は、江戸時代末期に少量の手動式ガットリングガンがアメリカから輸入されたことに始まる。日露戦争には、フランスからホッチキス機関銃が輸入されて使用された。のちにホッチキス機関銃は日本でコピーされて国産化され、1905年(明治38)に口径6.5ミリの三八式機関銃として制式機関銃になった。1914年(大正3)、ホッチキス機関銃を見本として日本が独自に改良開発した三年式機関銃が制式となる。三年式機関銃はさらに発展改良され、1932年(昭和7=皇紀2592)に九二式機関銃になった。1941年(昭和16=皇紀2601)には、九二式機関銃の生産性を向上し軽量化された改良型機関銃が、一式機関銃として制定された。しかし、アメリカと開戦したため、既成の兵器の量産が優先され一式機関銃の量産は見送られた。

 軽機関銃としては、1922年(大正11)に制定された口径6.5ミリの十一年式軽機関銃がある。1936年(昭和11=皇紀2596)には、操作性のよい九六式軽機関銃が制定され、さらに1939年(昭和14=皇紀2599)には、九六式軽機関銃を原型に、口径を7.7ミリに大きくした九九式軽機関銃が制定され供給された。

 戦車や装甲車などに装備する専用機関銃としては、十一年式軽機関銃を原型に改良した九一式車載機関銃(1931年=皇紀2591制定)や、チェコのZB軽機関銃を原型とする九七式車載機関銃(1937年=皇紀2597制定)が製造供給された。

 第二次世界大戦後、自衛隊が創設されると、初めアメリカ軍の装備に準じたブローニング機関銃などで武装した。その後国産兵器生産の気運が高まり、日本特殊鋼が中心になって国産機関銃が設計され、国産機関銃は1962年(昭和37)に62式機関銃として自衛隊の制式となった。現在、自衛隊はこの62式機関銃と、分隊支援機関銃としてベルギーFN社原案のFNミニミ機関銃が、ライセンス生産され供給されている。

[床井雅美]


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改訂新版 世界大百科事典 「機関銃」の意味・わかりやすい解説

機関銃 (きかんじゅう)
machine gun

早い発射速度(単位時間当りの発射弾数)で連発できる口径20mm未満の小火器。歩兵の主要戦闘火器の一つで,重量によって重機関銃,軽機関銃などに区分される。重機関銃は,三脚または専用銃架に取り付け,地上目標のほか低空目標に対して使用される。脚架を含む重量は,約20~40kg程度のものが多く,通常2~3名で運搬操作する。現在,各国で装備しているものでは口径12.7mm級以上がこれに該当する。軽機関銃は,個人で携行操作できる約5~10kg程度のものである。通常,2脚を有し,小銃弾を使用する。今日では構成部品を組みかえ,重機関銃的にも軽機関銃的にも使用できる汎用機関銃もある。いずれも発射速度は毎分500~1300発,初速は毎秒700~1000m程度。短機関銃は,拳銃弾を使用する近距離用の小型自動火器で,3.5kg前後のものが多い。なお,口径20mm以上のものは機関砲といっているが,構造はほぼ機関銃と同じである。機関砲は主として,戦車,装甲車,航空機,艦船に搭載し,対装甲車,対航空機用として用いる。

機関銃のルーツは,15世紀にレオナルド・ダ・ビンチが考案した多銃身砲にみられる。以後,多数の銃身を横に並べたもの,あるいは束ねたものなど種々の多銃身砲が作られた。しかし,一度射撃すると次弾の装てんに時間がかかり,攻撃前進に不便であった。1870年代にR.J.ガトリングは実用的な最初の機関銃を開発した。このガトリング砲は,銃軸まわりに6本の銃身を配置し,これを手回しで回転させることにより弾薬の装てん,発射,薬莢(やつきよう)の排出を連続的に行うものである。この原理は,今日でもバルカン砲に応用されている。87年,H.S.マクシムは,発射反動を利用し,単銃身で連続発射のできる本格的機関銃を発明した。これは,連射機構の作動エネルギーを射手の筋肉によらず,発射薬から引き出した点で画期的であり,以後の兵器工業全般に多大な影響を及ぼした。やがてホッチキス社は銃身内のガス圧を利用し,遊底を後退させる自動機構を開発した。なお,このほかの作動方式として,薬莢底部にかかる発射ガス圧で直接遊底を後退させる吹戻し式がある。

 機関銃の威力を世界に示したのは日露戦争であり,第1次世界大戦であった。戦場での機関銃の使用は,昼間の部隊移動を困難にし,相互に多くの被害をもたらした。この時代以降,機関銃は著しく発展し,ブローニング機関銃などの傑作銃が生まれた。今日では戦車,航空機に搭載するモーターで駆動するチェーンガン,バルカン砲などの外部動力式機関銃(機関砲)など新機構の小火器が広く使用されている。

一般に機関銃は,銃身部,尾筒部,遊底部,引金銃床部および脚などからなる。持続発射速度向上のため,迅速に銃身交換できる構造の銃が多い。弾薬はベルト状リンク,箱型弾倉などで給弾される。
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百科事典マイペディア 「機関銃」の意味・わかりやすい解説

機関銃【きかんじゅう】

マシンガンともいう。引金を引き続ければ連発し,また単発もできる自動火器。重・軽,空冷・水冷の別,また給弾方式に弾倉式,ベルト式の別がある。17世紀ころから銃身を数本たばね手動で順次に発火することが行われ,南北戦争時に出現したガトリング銃は有名である。1887年マクシムが火薬ガスを利用して自動的に連発する本格的機関銃を完成。ブール戦争,日露戦争で威力を発揮,第1次大戦以後歩兵の主要戦闘火器となり,航空機,戦車にも積載,対空用も出現した。発射時の反動または火薬ガスの排出圧力を利用して,装填(そうてん),発射,排莢(はいきょう)を繰り返す。現用のものは口径7.62〜57mm,発射速度毎分500〜1000発。ほかに著大な発射速度をもつバルカン砲がある。旧日本陸軍では口径11mm超を機関砲と呼んだが,今日ではふつう比較的大口径で炸薬(さくやく)弾を発射するものを機関砲といい,レーダーや射撃管制装置と連動するものも多い。
→関連項目FSX装甲車劣化ウラン弾

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「機関銃」の意味・わかりやすい解説

機関銃
きかんじゅう
machine gun

引き金を引き続ければ,連続して自動的に弾丸を発射できる火器。個人携帯可能な重量約 16kg以下の軽機関銃 (口径 7.62mm以下) と重機関銃 (口径 12.7mm以上) に大別できるが,7.62mm機関銃も三脚に固定した場合は重機関銃に分類される。また,重・軽の区別をせず汎用機関銃とも呼ばれる。発射速度は毎分 800発程度から 6000発まで。車載用や航空機用などさまざまな用途がある。連発銃をつくる試みは古い歴史をもち,初めは簡単な多銃身銃がつくられた。 1718年に J.パクルがロンドンでガトリング機関銃に似た連発銃を設計し特許をとったが,機関銃の登場はアメリカ合衆国で雷管が発明された 1810年代以降。 1850年代から 1880年代にかけて,アメリカでガトリング機関銃,ホッチキス機関銃,ガドナー機関銃をはじめとする,多くの手動式機関銃が考案された。南北戦争で機関銃の威力が示されると,ヨーロッパにも普及した。 1885年頃にイギリスで発明された無煙火薬は,高圧のガスを発生するとともに,反動も大きくなったので,機関銃に画期的な進歩をもたらし,ガス圧あるいは反動を利用した連続作動を可能にした。これを応用したマクシム機関銃が最初の本格的な機関銃といえる。日本では 1890年にマクシム機関銃を輸入,約 200丁を製造し,日清戦争で使用したのが最初である。

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