先端にバルーン(風船)を装填(そうてん)した内視鏡。バルーンを膨らませたりしぼませたりして腸管を折りたたむように縮めながら進めることで、消化管内部を詳細に観察できる。とくにこれまで困難とされてきた小腸の微細な病変の発見に有効とされ、カプセル内視鏡に比べ動きの自由度は制限されるが、内視鏡で観察しながら同時に治療を行うことができるという利点がある。小腸までをカバーできる長いスコープと、先端にバルーンのついたチューブで構成されている。自治医科大学の山本博徳(ひろのり)(1960― )によって考案された、バルーンを二つもつダブルバルーン内視鏡が一般的で、侵襲も少ないことから世界的に導入が進んでいる。微細な病変まで詳細に観察可能で、また病変が疑われる組織の採取も同時に行うことができるため、病理学的診断にも有用である。さらに治療内視鏡として、ポリープの切除や、出血部位の止血、閉塞(へいそく)もしくは狭窄(きょうさく)をおこしている部位のバルーンによる拡張なども観察しながら行うことができる。
予測される病変部の位置により挿入方法を経口的とするか経肛門(こうもん)的とするか決定し、X線透視下で位置を確認しつつ挿入し、バルーンの伸縮を手元でコントロールしながら二つのバルーンを交互に膨らませて腸管内壁を把持しつつ進む。なお、長い小腸の全域にわたって観察するために、経口的方法と経肛門的方法を両方行う場合がある。
こうしたバルーン内視鏡の長所を生かして、術後の消化管内など、従来の内視鏡では到達しえなかった部位の観察も可能となった。
[編集部]
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