バンダービルト(その他表記)Cornelius Vanderbilt

改訂新版 世界大百科事典 「バンダービルト」の意味・わかりやすい解説

バンダービルト
Cornelius Vanderbilt
生没年:1794-1877

アメリカの鉄道業者。1813年19歳のころからハドソン川で船主として海運業に従事し,のち大西洋横断の海運業者に成長した。62年からニューヨーク・ハーレム鉄道に出資し始め,鉄道会社間の競争を利用して67年にはニューヨーク・セントラル鉄道を支配下に収め,77年に死ぬまでアメリカの代表的な鉄道経営者として活躍,当時アメリカ一の資産(1億ドル以上)をのこしたといわれた。1868年のイリー鉄道の支配をめぐってのグールドJay Gouldらとの仕手株戦は有名。テネシー州ナッシュビルのバンダービルト大学は,彼の寄付(100万ドル)を記念して1873年にセントラル大学が改称したものである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バンダービルト」の意味・わかりやすい解説

バンダービルト
ばんだーびると
Cornelius Vanderbilt
(1794―1877)

アメリカの船舶、鉄道資本家。16歳からニューヨークで渡航業を始め、1818年には蒸気船輸送に参加、のち同地域一帯の海上輸送を支配するに至った。50年、ニカラグア地峡を横断してカリフォルニアに至る船舶路線を設け、金ブームの同地への輸送で巨富を築いた。さらに、大西洋航路に進出したのち鉄道業に関心を移し、67年、ニューヨーク・セントラル社長に就任。次々と関連路線を買収し、五大湖地域に至る幹線鉄道網をつくった。その経営は能率的といわれるが、競争相手に対抗して多くのあくどい手段を用いた。当時の推定で1億ドルという巨富を積み、ニューヨーク郊外に、史跡となる豪邸を残している。

[長沼秀世]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バンダービルト」の意味・わかりやすい解説

バンダービルト
Vanderbilt, Cornelius

[生]1794.5.27. ニューヨーク,スタテン島
[没]1877.1.4. ニューヨーク
アメリカの実業家。蒸気船と鉄道の経営により財閥一族の創始者となった。 16歳で渡し船を買いスタテン島とニューヨークを結ぶ運輸業を開始。ゴールド・ラッシュのときニカラグア経由のニューヨーク-サンフランシスコ間航路を開いて巨利を得,1855年にはアメリカ,フランス間などを結ぶ大西洋航路に移行し,南北戦争後鉄道業に転じた。息子ウィリアムには1億ドルの資産を残したといわれる。

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