改訂新版 世界大百科事典 「バンディクート」の意味・わかりやすい解説
バンディクート
bandicoot
ウサギ大かそれよりもやや小さな雑食性の有袋目バンディクート科バンディクート属Peramelesに属する哺乳類の総称。ニシシマバンディクートP.bougainville,ハナナガバンディクートP.nasutaなど4種がある。後肢がよく発達し,跳躍する姿はカンガルーに似るが,吻(ふん)が長くとがり,尾が細い点ではトガリネズミに似る。前足は比較的大きく穴を掘るのに適する。育児囊は後方に開き,ふつう8個の乳頭がある。体色はとび色ないしコルク色。一部の種を除き腰に黒の美しい筋模様がある。オーストラリアとタスマニアに分布。体長21~43cm,尾長8~17cm。草原や畑地にすみ,地表を前足でかいて昆虫,ミミズ,ネズミなどを捕食し,また,球根,草の葉なども食べる。繁殖その他の習性については,5~8月に2~4子をもつ雌がとらえられたという記録があるほかはほとんどわかっていない。19世紀までは各地にごくふつうに見られたが,一部の種を除き近年は絶滅が心配されるほど少ない。
→有袋類
執筆者:今泉 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報