バーチャル博物館(読み)バーチャルはくぶつかん(英語表記)virtual museum

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バーチャル博物館」の意味・わかりやすい解説

バーチャル博物館
バーチャルはくぶつかん
virtual museum

デジタル化した画像,音声文書のほか,歴史的,科学的,文化的価値のあるデータを集めた博物館美術館。電子メディア経由でアクセスする。その大半既存の博物館や美術館が運営しており,収蔵品もそこから転用されている。しかし,ワールド・ワイド・ウェブ WWWをはじめとする電子情報メディアのハイパーリンク機能とマルチメディア機能を駆使すれば,利用者は娯楽や研究を目的としたさまざまな情報源から,デジタル化された複製をかなり自由に集めることができ,比較研究や特定主題,素材,場所などに関する研究の強力な手段ともなりうる。その多くは広報用にインターネット上に開設したウェブサイトホームページから出発した。ホームページは,自館の開館時間,運営方針,各種サービスなどの公式情報をおもな内容としている。大英博物館のウェブサイトのように,館内の見取り図を紹介しているところもある。このかぎりでは,バーチャル博物館は,展覧会やカタログ,写真,ビデオなどと並んで,博物館・美術館とその収蔵品を宣伝・紹介する媒体の一つといえる。ロンドン科学博物館カリフォルニア大学バークリー古生物博物館など一部の博物館や美術館には,おもな展示品をオンラインで紹介するバーチャル展覧会を含む本格的なサイトがある。そのほか,収蔵品のデータベースを公開しているところもある。フランス文化省が運営するデータベース (Joconde) では,国内 60以上の博物館や美術館が所有する重要作品の情報を得ることができる。博物館や美術館の所蔵であるなしにかかわらず,各地に分散する作品の複製を集めて公開している組織もある。広義のバーチャル博物館は,WWWのもつアクセスの容易さ,枠組みにとらわれない柔軟性,ハイパーリンク機能,双方向性,そしてマルチメディア機能を十分に活用した博物館や美術館である。

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