改訂新版 世界大百科事典 「パラウン族」の意味・わかりやすい解説
パラウン族 (パラウンぞく)
Palaung
ミャンマーのシャン州から中国の雲南省にかけて住む民族のビルマ語名。中国では崩竜族と表記する。自称にはルマイRumaiをはじめ数種ある。アウストロアジア語族のモン・クメール語族に属する言語を話す。人口はミャンマーに約14万,中国に約1万2000といわれる。ミャンマーのトーンペンを中心にし,シャン族と同様の形態の小王国をつくって,みずからの王を頂いていた。言語系統上は東方に住むワ族ときわめて近いが,焼畑耕作を行い,首狩りをしていたワ族と異なり,水稲耕作を営み,平和な上座部仏教徒である。周辺は茶の産地で,乾燥した茶や発酵させた食用茶が輸出される。集村を形づくり,高床住居に住み,地域によっては1軒に複数家族が住む。父系氏族制をもつところもあるが,双系的なところもあり,親族組織には地域差が大きい。僧侶や一部の上層民は死後火葬されるが,一般には土葬である。仏僧のほかに,呪医兼占師が宗教生活において重要である。
執筆者:大林 太良
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報