日本大百科全書(ニッポニカ) 「高床住居」の意味・わかりやすい解説
高床住居
たかゆかじゅうきょ
柱や杭(くい)を利用して、床面を地表面よりも高くした住居形態。杭上(こうじょう)家屋とよばれることもある。おもに東南アジアから、メラネシア、ニューギニアにかけての地域、また、シベリア、北アメリカ、南アメリカの一部などにみられる。高床住居は、床面が地表面から離れているため、通風性に優れ、熱帯周辺の湿潤な地域の環境に適している。また、多雨地域においては、洪水など地表面からの水の浸入を心配する必要がないという利点をもつ。そのうえ、害獣、害虫などの侵入を防ぐという利点もある。これらの長所を生かして、高床式の倉が用いられることも多い。さらに、土間式の住居に比べ、高床住居は地表面を整地する必要性が少なく、凹凸がある土地や傾斜地に建てたり、海岸、湖岸、河岸などの水上に建てることさえも可能である。このように水上に建てた高床住居は一般に水上住居とよばれ、東南アジア、メラネシア、南アメリカなどにみられる。
また、高床住居の特殊な形態として、インド、東南アジア、ニューギニアなどにみられる樹上家屋がある。日本の半高床式の住居も広義の意味では高床住居に分類される。
[栗田博之]