パンフォーカス(その他表記)pan-focus

デジタル大辞泉 「パンフォーカス」の意味・読み・例文・類語

パン‐フォーカス(pan-focus)

映画写真などで、画面の中の前景から後景まで全部焦点を合わせること。また、その撮影技法。ディープフォーカス

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精選版 日本国語大辞典 「パンフォーカス」の意味・読み・例文・類語

パン‐フォーカス

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] pan focus ) 同一画面の中で、近景から遠景まで、すべての被写体に焦点が合っているようにする撮影技法。特に、映画で用いられる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パンフォーカス」の意味・わかりやすい解説

パンフォーカス
pan-focus

映画・写真用語。画面の前景から後景まで焦点の合っている構図もしくは映像のこと。全焦点ともいう。パンフォーカスには焦点深度の深い広角レンズが使われる。映画では,画面の各要素の位置と関係が状況としてよく説明できるため,リアリズム手法として重要視されている。とりわけ溝口健二監督や,第2次世界大戦後のイタリアネオレアリズモ映画でこの手法が多用された。写真では,広角レンズ絞りを絞り込み,被写界深度を深くして撮影する。おもに風景や建築写真向きだが,厳密なピント合わせが必要ないため瞬間に強く,スナップショットでも用いられることがある。

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知恵蔵 「パンフォーカス」の解説

パン・フォーカス

被写体の近景から遠景までシャープにピントが合っている状態のこと。とくに風景写真において、パン・フォーカスで撮られた作品を見ることが多い。
 パン・フォーカスを得るには、たとえば、被写界深度が深い28ミリ以下の広角レンズを用い、絞り込むこと。ただし絞り込むとシャッタースピードが落ち、手ぶれを起こす恐れがあるため、フィルム感度を上げたり三脚を利用するなどの工夫が必要になってくる。

(神田憲行 ライター / 2008年)


パンフォーカス

「パン・フォーカス」のページをご覧ください。

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カメラマン写真用語辞典 「パンフォーカス」の解説

パンフォーカス

 奥行きのある被写体で、カメラに近いところから遠いところまでピントが合っているようにシャープに写すこと。広角レンズを使う、レンズを絞り込む、ピント位置を被写体の奥行きの1/3くらいに合わせることによりパンフォーカスに写すことができる。

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世界大百科事典(旧版)内のパンフォーカスの言及

【偽りの花園】より

…ハリウッドの名プロデューサー,サミュエル・ゴールドウィンのもとで仕事をした《この三人》(1936)から,《我等の生涯の最良の年》(1946)に至る10年がワイラーのキャリアの最良の10年といわれているが,〈ワイラー・ルック〉と呼ばれることになるそのスタイルが,もっとも顕著に現れた作品である。とくにヒロインのベティ・デービスが,夫のハーバート・マーシャルを冷然と見殺しにするシーンは,〈人物を縦の構図に入れこんだ〉(アンドレ・バザン),焦点深度の深いいわゆる〈パン・フォーカス〉撮影の一つの頂点として映画史に残る名場面となった。この作品の前に,すでにオーソン・ウェルズ監督の《市民ケーン》(1941)において画期的な〈パン・フォーカス〉撮影を試みた名カメラマン,グレッグ・トーランド(ワイラーとは《白蛾》(1934)から《我等の生涯の最良の年》に至る名コンビである)が撮影を担当した。…

【市民ケーン】より

… ふつうのストーリー・テリングに見られる時間的配列を解体して進行し(例えば冒頭でケーンの生涯が紹介されてしまう等々),また,広角レンズを多用し,クレーンを駆使した大胆で奔放な演出が異彩を放った。ニューヨークの近代美術館で映画を見て撮影技法を研究し,とくにジョン・フォードの《駅馬車》(1939)を40回も見たとはいえ,実際に映画を撮った経験のないウェルズを助けたのは,アカデミー撮影賞を受賞した《嵐が丘》(1939)をはじめ《怒りの葡萄》《果てなき旅路》(ともに1940)でいわゆる〈パンフォーカス〉(英語ではディープフォーカスdeep focus)技法を実験していた名カメラマン,グレッグ・トーランドである。トーランドは4人の撮影スタッフを伴って撮影を担当し,〈パンフォーカス〉技法を完成させるとともにウェルズの〈ワンシーン・ワンカット〉演出を可能にした。…

※「パンフォーカス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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