パールバティー(読み)ぱーるばてぃー(その他表記)Pārvatī

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パールバティー」の意味・わかりやすい解説

パールバティー
ぱーるばてぃー
Pārvatī

ヒンドゥー教女神シバ神の妻。パールバティーは「山の娘」の意味で、ヒマラヤ山の娘であるとされる。別名ドゥルガーガウリーカーリー。軍神スカンダ(クマーラ)、および象面のガネーシャ(聖天)は、彼女の生んだ息子とみなされる。4、5世紀ごろの詩聖カーリダーサは、シバとパールバティーとの恋愛を題材に、叙事詩『クマーラサンババ』(クマーラの誕生)を著した。その内容は以下のようである。ヒマラヤは娘のパールバティーに、苦行に専念するシバの身の回りの世話をさせていた。悪魔に悩まされた神々は、シバに軍神となるべき息子をつくらせるために、愛神カーマを派遣してシバに愛欲をおこさせようとする。カーマは怒ったシバに焼かれた。パールバティーは苦行に専念してシバの愛を得て彼と結ばれる。

上村勝彦


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パールバティー」の意味・わかりやすい解説

パールバティー
Pārvati

インド神話における主神の一つシバの配偶神。サンスクリット語で「山の娘」の意で,シバのシャクティ (性力) を神格化したもの。慈愛と狂暴の2面をもつため,ウマー Umā (親切な女) ,アンナプールナー Annapūrna (たくさんの米を与える者) ,ガウリー Gaurī (白く輝く者) ,カーリー Kālī (黒い女) ,チャンディー Cāndī (狂暴な女) ,ドゥルガー Durgā (寄りつけない者) など多くの異称をもつ。とりわけ畏怖側面を表わすカーリーとドゥルガーの信仰が盛んで,多くの手に武器を持ち,恐ろしい女神として崇拝される。

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世界大百科事典(旧版)内のパールバティーの言及

【インド神話】より

…彼はまたパシュパティ(獣主)とも呼ばれるので,後にパーシュパタ(獣主派)というシバ教の一派が形成された。シバの妃はパールバティーPārvatī(〈山の娘〉の意)である。彼女はヒマラヤの娘とされ,また,ウマー,ガウリー,ドゥルガーなどとも呼ばれ,血なまぐさい狂暴な姿をとるときは,カーリーと呼ばれる。…

【ガネーシャ】より

…ガネーシャは〈(神々の)群(ガナ)の主〉という意味で,ガナパティGaṇapatiとも呼ばれる。シバ神とパールバティーPārvatīの息子とされる。彼は身体は人間であるが象面で,一牙を持つから,エーカダンタEkadanta(一牙を持つ者)と呼ばれる。…

【カーリー】より

…ヒンドゥー教の主神シバの妃であるドゥルガー(別名パールバティー,ウマー,ガウリー)が恐ろしい形相をとった時の呼称とされるが,元来は別の神格であったようである。カーリー女神は牙のある口から長い舌をだらりとたらし,黒くて瘦せ細ったおぞましい姿で図像化される。…

【シバ】より

…彼はまた,妻サティーSatīの死を悲しんで,彼女の父ダクシャの祭式を破壊する。ヒマラヤの娘パールバティーPārvatī(ウマー,ドゥルガー,ガウリーなどとも呼ばれる)はサティーの生れ変りとされ,苦行の末に彼の妻となった。その間に生まれた息子が軍神スカンダ(韋駄天)である。…

【ドゥルガー】より

シバ神の妻。パールバティーPārvatī,ウマーUmā,ガウリーGaurī,カーリーなどの別名をもつが,これらは元来別の女神であったと考えられている。ドゥルガーは〈超え難い女性〉という意味で,悪魔たちを殺す恐ろしい女性戦士とみなされている。…

※「パールバティー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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