ヒメアカタテハ
ひめあかたては
painted lady
[学] Cynthia cardui
昆虫綱鱗翅(りんし)目タテハチョウ科に属するチョウ。琉球(りゅうきゅう)諸島を含む日本全土に広く分布し、各地にみられる普通種であるが、一般に個体数は多くない。国外における分布はほぼ全世界にわたり汎(はん)世界種として知られる。本種の越冬可能地域は関東地方以南の暖地で、より北方地域で発見されるものはほかの地域からの飛来個体である。はねの開張は55ミリメートル内外。一見アカタテハに似ているが、やや小形で、後翅表面の橙(だいだい)色の斑紋(はんもん)は中央にまで広がっている。年数回の発生、越冬幼虫より生ずる第1化は4、5月より出現する。幼虫の食草はゴボウ、ヨモギ、ハハコグサなどのキク科植物およびカラムシ、エゾイラクサなどのイラクサ科。ゼニアオイ(アオイ科)、ダイズ(マメ科)に幼虫が発生した記録もあり、チョウのなかでは珍しく雑食性の傾向(学問的には寡食性という)を示すものである。
[白水 隆]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
ヒメアカタテハ
学名:Cynthia cardui
種名 / ヒメアカタテハ
目名科名 / チョウ目|タテハチョウ科(タテハチョウ類)
解説 / 成虫は移動力が強く、日本全土で見られます。
体の大きさ / (前ばねの長さ)24~28mm
分布 / 関東地方南部以南に土着
成虫出現期 / 関東地方では5~12月
幼虫の食べ物 / ハハコグサなど
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「ヒメアカタテハ」の意味・わかりやすい解説
ヒメアカタテハ
鱗翅(りんし)目タテハチョウ科の1種。日本全土のほかほとんど全世界の暖地に分布。開張55mm内外,黒褐色地に赤や赤だいだい色の斑紋がある。幼虫はハハコグサ,ゴボウ,アザミなどのキク科植物を食べる。暖地では特定の越冬態がないが,東京以北の寒地では越冬できず,成虫が毎年暖地から飛来する。ヨーロッパでは北アフリカから地中海を渡って飛来してくるので有名。
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世界大百科事典(旧版)内のヒメアカタテハの言及
【アカタテハ】より
…ヨーロッパに分布するV.atlantaはそのきびきびした動作からred admiralの名で親しまれている。やや小型の近縁種にヒメアカタテハCynthia carduiがある。これは南アメリカを除く世界中に分布する。…
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