日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゼニアオイ」の意味・わかりやすい解説
ゼニアオイ
ぜにあおい / 銭葵
[学] Malva mauritiana L.
Malva sylvestris L.
アオイ科(APG分類:アオイ科)マルバ属(ゼニアオイ属)の二年草。太い茎を直立的に伸ばし、高さ約80センチメートル。葉は長い柄があり、円形で浅い切れ込みがある。茎や葉の周辺は粗毛で覆われる。夏、葉腋(ようえき)に径約2.5センチメートルの淡紫色花を開く。他に桃、白色花もある。花弁はくさび形で5枚、濃色の脈がある。南ヨーロッパからアジアにかけて分布し、日本への渡来は元禄(げんろく)(1688~1704)初期と考えられ、『草花絵前集(くさばなえぜんしゅう)』(1699)に小葵として絵が出ている。まれに花壇植えにされるが、性質はきわめてじょうぶである。
マルバ属にはほかに、花がやや大形のジャコウアオイM. moschata L.や、帰化植物として雑草化している匍匐(ほふく)性の小形種ハイアオイM. rotundifolia L.などがある。
[伊藤秋夫 2020年4月17日]