日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒメテンコケムシ」の意味・わかりやすい解説
ヒメテンコケムシ
ひめてんこけむし / 姫天苔虫
[学] Lophopodella carteri
触手動物門苔虫(こけむし)綱掩喉(えんこう)目ヒメテンコケムシ科の淡水産小動物。無性出芽によって増えた個虫とよばれる小さな動物体が、自身で分泌した寒天質中に埋まって直径1.5センチメートルほどの塊状群体をつくる。日本各地の池や沼で、水草などに付着してすみ、いくらか移動もできる。個虫の触手は70~80本。淡水コケムシの常として越冬のための休芽をつくる。分類にはこの休芽の形が重要である。ヒメテンコケムシの休芽は楕円(だえん)形で鞍(くら)状に曲がっていて両端には棘(とげ)がある。近縁種のカンテンコケムシPectinatella gelatinosaは、円形で棘のない休芽をつくるので容易に区別できる。
[馬渡峻輔]