日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビエンヌ公会議」の意味・わかりやすい解説
ビエンヌ公会議
びえんぬこうかいぎ
カトリック教会の第15回公会議。1311年より12年にかけて、教皇クレメンス5世(在位1305~14)の下で、フランス南東部、リヨン南郊のビエンヌVienneで開催された。中心議題はテンプル騎士修道会問題であった。修道会の莫大(ばくだい)な財産に目をつけたフランス王フィリップ4世(美王)は、修道会の解散と財産没収を強行しようと、教会を圧迫した。問題検討のための公会議参加者の選定に際しても、フィリップ4世の意向が働いていたが、公会議自体は王権に完全に屈したわけではなかった。公会議では、修道会の解散が決定されたが、修道会の断罪、王への財産譲渡、およびボニファティウス8世(在位1294~1303)の断罪という王の要求は拒否された。
このほか、公会議は教会改革についても決議を採択し、それらは『クレメンス5世教会法令集』に収められ、教会法の一部に加えられた。
[梅津尚志]