ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ファルティングス」の意味・わかりやすい解説
ファルティングス
Faltings, Gerd
ドイツの数学者。1978年,ミュンスター大学にて博士号を取得。1978~79年ハーバード大学,1979~82年ミュンスター大学,1982~84年ブッパータール大学,1985~96年アメリカ合衆国のプリンストン大学を経て,1996年からドイツのボンにあるマックス・プランク数学研究所(→マックス・プランク研究所)に勤務。1986年にカリフォルニア州バークリーで開催された国際数学者会議で,数論的代数幾何学に関する業績によりフィールズ賞を受賞した。1922年,イギリスの数学者ルイス・モーデルは,有理数を係数とする代数方程式系は,定義する代数曲線の種数が 2以上であれば,有理数解の個数は有限個であろうという予想を提唱した。ここで種数とは,代数曲線をリーマン面とみたときの穴の数を表す。種数 0の場合は以前から知られており,モーデル自身は種数 1の場合の結果を与えた。ファルティングスは数論的代数幾何学の手法を駆使して,このモーデル予想を解決した。フェルマの方程式 xn+yn=znに適用すると,n>2 のとき整数解は有限個であるという結論が得られる(→フェルマの最終定理)。ファルティングスの手法は,抽象的な代数幾何学の枠組みを用いて,整数論の問題を幾何学的にとらえるもので,その後の数論的代数幾何学の分野の発展を促した。
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