改訂新版 世界大百科事典 の解説
フィッシュ・アンド・チップス
fish and chips
イギリス庶民の日常的食事。タラ,ハドック(タラの一種),プレース(カレイの一種)など,北洋産の白身の魚の切り身をフライにし,チップスを添えたもの。チップスはジャガイモの棒切りフライで,日本でいうポテトチップとは違い,日本では〈フレンチポテト〉と呼ぶものだが,もっと太く雑な切り方をしてある。好みによってビネガーをふりかけて食べる。イギリス各地にこれを売る店があり,店内で食べてもよし,新聞紙にくるんでもらい,よそで食べてもよい。イギリス庶民の日常生活のシンボルのように考えられ,A.ウェスカー作の戯曲《みんなチップスつき》(1962)という題が示すとおり,安レストランではどの料理にもチップスがつき,安油のにおいがぷんぷんするその味が庶民生活の懐かしさといじましさを痛感させる。しかしイギリスの魚もジャガイモも味そのものは悪くないから,揚げたてを食べればかなり美味である。
執筆者:小池 滋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報