日本大百科全書(ニッポニカ) 「フォルサム文化」の意味・わかりやすい解説
フォルサム文化
ふぉるさむぶんか
Folsom
北アメリカ大平原(グレート・プレーンズ)のニュー・メキシコ州東部からワイオミング州東部にかけて分布するパレオ・インディアン文化の一つ。押圧剥離(はくり)技法による樋状剥離痕(ひじょうはくりこん)をもち、湾入した基部をもつ木葉形尖頭器(せんとうき)(ポイント)が特徴。バイソン、マンモス、ウマなど絶滅種の大型哺乳(ほにゅう)動物を共伴し、地質年代ではウィスコンシン氷河期最末期に比定され、放射性炭素14法による年代は1万1000~9300年前である。ニュー・メキシコ州フォルサム遺跡にちなんで命名された。
コロラド州北東部リンデンマイアー遺跡では、樋状剥離痕をもつフォルサム・ポイントのほか、ナイフ型石器、チョッパー、スクレーパーなどとともに骨角器、ビーズ、骨製小盤などが出土。約1万1000年前の大型獣狩猟の実態と当時の狩猟民の生活が跡づけられている。ほかにシャーバウア遺跡(テキサス州)、ブラックウォーター・ドゥロウ遺跡(ニュー・メキシコ州)などが知られている。
[小谷凱宣]