フォードモーター会社(英語表記)Ford Motor Co.

改訂新版 世界大百科事典 「フォードモーター会社」の意味・わかりやすい解説

フォード・モーター[会社]
Ford Motor Co.

アメリカ第2位の自動車メーカーで,いわゆるビッグ・スリーの一社。略称フォード。世界の自動車メーカーのなかでは最も多国籍企業化が進んでいる。本社ミシガン州ディアボーン。

 1903年,H.フォードによりミシガン州ランシングに設立された。設立早々発売したフォードA型はよく売れ,次いでC型,F型と発売した。08年には有名なフォードT型(T型フォード)を,H.フォードが長年抱いていた大量生産による大衆車を実現した自動車として発売した。しかし〈フォード・システム〉と呼ばれる,コンベヤを利用した大量生産管理システムは13年より本格実験に入り,14年からシャシーの組立てに採用された。この結果フォードT型は1908年から27年にかけて1500万7033台が生産された。一方フォード社のアメリカの乗用車登録台数に占める割合も1924年の50.2%をピークに40%台が続いた。しかし1920年代の中ごろから,大恐慌の後の経済成長と耐久消費財ブームが起こり,乗用車に対する需要が多様化した。この市場変化に対応して,各需要層に合った車種をそろえ,モデルチェンジを頻繁に行うゼネラル・モーターズ社にトップの座を奪われた。海外生産には1920年代から力を注いでいる。第2次大戦後は70年代に入り,それまでの大型車中心から,世界的な小型車に対する需要増加に合わせ,小型車を投入し,また日本の東洋工業(現,マツダ)と71年に業務提携し79年から資本参加したが,さらに96年資本の1/3を取得し社長を派遣して傘下に収めた。99年スウェーデンのボルボ社の乗用車部門を買収した。売上高1717億ドル(2004年12月期)。
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世界大百科事典(旧版)内のフォードモーター会社の言及

【自動車産業】より

…その理由としては,(1)当時の新大陸アメリカでは資本,国民所得,市場,石油資源など経済的条件がヨーロッパにおけるよりも成長に適していたこと,(2)農業機械工業,自転車工業,兵器工業などにおいて互換性部品による量産方式が発達しており,量産工業としての自動車産業が発達する技術基盤があったこと,(3)H.フォードが流れ作業による大量生産方式(フォード・システム)の導入に成功したこと,などがあげられる。1896年フォードは最初のガソリン自動車の試作に成功し,1903年にフォード・モーター社(略称フォード)を設立した。08年にはフォードの持論であった大衆向けの車種であるT型フォードの生産を開始した。…

【フォード】より

…アメリカの自動車王でフォード・モーター社の創業者。アメリカの天才的技術者,企業的成功者として,発明王エジソンとならんで語られるヒーローの一人。…

【ミシガン[州]】より

…湿潤大陸性気候の根雪地帯で日本の北海道に似ている。アメリカ自動車工業の中心地で,GM(ゼネラル・モーターズ)もフォード・モーター会社もこの州内に本社がある。19世紀には林業が盛んであったが,植林をしない略奪林業のため,19世紀末には伐採跡地のみになってしまった。…

※「フォードモーター会社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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