広島県府中町に本社を置く自動車メーカー。ガソリン車やディーゼル車の省エネ技術に強みを持つものの、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)の開発は出遅れている。2017年3月期連結決算の売上高は3兆2143億円、純利益は937億円だった。世界販売台数は過去最高の155万9千台を記録し、うち3割弱を主力の北米市場で売った。連結従業員数は約5万人。
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ロータリーエンジンで知られる大手自動車メーカー。本社,広島県安芸郡府中町。前身は1920年広島市に設立の東洋コルク工業(株)で,社長には松田重次郎が就任した。27年に社名を東洋工業(株)と改称,工作機械の分野に進出した。その後まもなく二輪車の製造を経て31年には三輪トラックの生産を開始したが,これは同社の主力商品となった。しかし日華事変以降は小銃など軍需生産の比重が増大し,三輪トラックの生産は激減し,45年の原爆投下により生産活動は完全に停止した。しかし,45年12月には三輪トラックの生産を再開,46年には削岩機,工具の生産を復活した。ともに戦後復興のために必要なものであったので生産は順調に拡大し,三輪トラックではトップ・メーカーとなった。50年代の後半から三輪から四輪へ需要の変化が始まり,同社も58年に小型四輪トラック,ロンパーを,60年には軽乗用車R360クーペ,64年には小型乗用車ファミリアをそれぞれ発売して,総合自動車メーカーとしての体制を整えた。また1961年には西ドイツのワンケル社,NSU社からロータリーエンジンの基本特許を導入,開発を進め,67年このエンジンを搭載したスポーツカー,コスモスポーツを発売し,その後もロータリー車をつぎつぎと発売した。ロータリーエンジンは排ガスが少なく,当時公害問題がクローズアップされていたため生産は拡大していった。しかし当時のものは燃費が悪く,73年に第1次石油危機がおこると,ロータリーエンジン車は販売不振に陥り,74年,75年と大幅赤字決算となった。そのため住友銀行などからの緊急融資,資産売却などにより76年には危機を脱した。その結果,同族経営から住友色を強めた。また79年には経営安定のためフォード社と資本提携し,96年フォード社の傘下に入る(同出資比率33.4%)。84年に現社名となる。資本金1365億円(2005年9月),売上高2兆6956億円(2005年3月期)。
執筆者:鈴木 明彦
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自動車メーカー。1920年(大正9)広島市に設立された東洋コルク工業(株)が前身。翌年松田重次郎(1875―1952)が社長に就任、1927年(昭和2)社名を東洋工業(株)と改称し、工作機械メーカーに転身。1931年マツダ号の名で三輪トラックの生産を始め事業の主力とした。1940年に乗用車を試作するが、戦時統制により小銃など軍需生産に傾斜。第二次世界大戦後もトラック中心に出発したが、1960年(昭和35)に軽乗用車R360クーペを発売し乗用車市場に参入。1964年ファミリア、1966年ルーチェと小型車も発売、シリーズ化を進め、戦前からの販売網を生かしてシェアを急伸させた。1984年社名をマツダと変更。1979年にアメリカのフォードと資本提携を結んだが、1996年(平成8)にはフォードの持株比率が33.4%に引き上げられ、社長にフォードから派遣されたウォレスが就任し、フォードの傘下に入った。資本金1500億円(2008)、売上高3兆4758億円(2008。連結ベース)。
新技術にも積極的で、1961年ドイツのNSU社、バンケル社と提携してロータリーエンジンを開発、67年に初のロータリー車コスモスポーツを発売した。さらに1972年には他に先駆けて低公害車ルーチェAPを発売、74年からは低燃費車の開発に力を入れ、また電気自動車の開発も進めている。1991年にはル・マン24時間耐久レースで日本メーカーでは初めて総合優勝を果たした。
[中村清司]
『東洋工業株式会社五十年史編纂委員会編『東洋工業五十年史 現況編』『東洋工業五十年史 沿革編』(1970、72・東洋工業)』
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