フラミンゴ(読み)ふらみんご(英語表記)flamingo

翻訳|flamingo

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フラミンゴ」の意味・わかりやすい解説

フラミンゴ
ふらみんご
flamingo

鳥綱フラミンゴ目フラミンゴ科に属する鳥の総称。この科Phoenicopteridaeの仲間は、世界の熱帯を中心に分布し、3属4種6亜種がある。頸(くび)が体に比べて異常に長くて細く、足も長く足指には水かきがある。足の長い点がツルに似ており、体に紅色を帯びているところからベニヅルともよばれる。風切(かざきり)は黒い。嘴(くちばし)はくの字に曲がった独特の形をし、構造が一般の鳥と逆で、下嘴が固定されて上嘴が蓋(ふた)のようにかぶさって動く。餌(えさ)をとるときには頭を垂れて、先端が後方に向くようなかっこうで嘴を水中や泥の中に浸す。嘴や舌の両側は櫛(くし)状になっており、上嘴と舌を動かして口の中の泥水濾過(ろか)し、藻類プランクトンを食べる。飛ぶときは長い頸と足を前後に伸ばし、短めの翼を小刻みに羽ばたいて直線的に飛ぶ。泥性の湖岸干潟に群れをつくってすみ、繁殖期にも集団でいる。巣は泥を積み上げて臼(うす)状につくり、ここに1個の卵を産む。

 いちばん大形のオオフラミンゴPhoenicopterus ruber roseusは、南フランス、中央アジア、アフリカに分布し、翼長約1.9メートル。体は白くて翼は紅色。南フランスのカマーグは、オオフラミンゴの繁殖地の北限として有名である。ベニフラミンゴP. r. ruberは西インド諸島とガラパゴス諸島に分布し、オオフラミンゴと同種の別亜種とされるが、体の紅色はずっと濃い。チリフラミンゴP. r. chilensisは南アメリカの温帯に分布し、これもオオフラミンゴと同種であるが、体がやや小さく淡紅色。この種は日本でも多く輸入され、公園や動物園でよく飼われている。また逃げ出したものが、海岸や湖沼でときどき記録される。コフラミンゴPhoeniconaias minorはアフリカ、ペルシア湾、インド北西部に分布し、小形で体は淡紅色。アフリカでは数百万羽という大群で生活している。アンデスフラミンゴPhoenicoparrus andinusアンデス山脈に分布し、足は黄色で後指がない。ジェームスフラミンゴPhoenicoparrus jamesiボリビア、チリに分布する小形種である。

高野伸二


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フラミンゴ」の意味・わかりやすい解説

フラミンゴ
Phoenicopteridae; flamingos

フラミンゴ目フラミンゴ科の鳥の総称。ベニヅルともいう。6種からなり,全長 70~120cm。頸と脚が非常に長く,羽色赤みのあるオレンジ色ないし淡いピンク色である。は下方に曲がった特殊な形をし,長い首を垂れて水面につけると曲がった先が水面と水平になる。合わせ目の縁は櫛状になっていて,舌をポンプピストンのように動かしてプランクトンなどを水と一緒に吸いこんでからその櫛でこしとって食べる。ヨーロッパ南部やアフリカインド西部,カリブ海地方,南アメリカ南部などに分布する。大きな湖沼に群れをつくってすみ,群れが 100万羽をこす種もある。巣は湿地に土を盛り上げてつくる。

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