フラム号(読み)ふらむごう(その他表記)Fram

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フラム号」の意味・わかりやすい解説

フラム号
ふらむごう
Fram

1893年から96年の、ナンセン北極探検に使われたノルウェーの探検船。船長はO・スベルドラップだった。700総トンの帆船で、長さ39メートル、幅11メートル。氷圧に耐える丸い底の特殊な船型で、シベリア北岸沖で氷に閉じ込められて北極海を漂流し、3年後グリーンランド海で氷海を脱出した。漂流中観測した風と海流のデータから、スウェーデンエクマン吹送流(すいそうりゅう)の理論を発表、現代風成海流理論の基礎となった。フラム号はその後、1898年から1902年のスベルドラップの北極海探検、1910年から12年のアムンゼン南極探検にも使用された。ノルウェーの誇る歴史的記念品として、首都オスロに保存、公開されている。

[半澤正男]

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百科事典マイペディア 「フラム号」の意味・わかりやすい解説

フラム号【フラムごう】

ノルウェーの探検船Fram。ナンセンが1893年9月25日―1896年8月12日の間氷に閉じ込められたまま北極海の漂流観測を行ったときの船。このときの観測をもとにエクマンが吹送流理論を確立。総トン数700トンの帆船で,氷圧で破壊されない底のまるい船体をもつ。アムンゼンの南極探検にも用いられた。

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世界大百科事典(旧版)内のフラム号の言及

【アムンゼン】より

…北極点横断を志したがピアリーに先を越され南極点一番乗りを宣言した。ナンセンの探検船フラム号を入手,11年1月ロス海ホエール湾に基地設定,10月同行4人と犬ぞりで極点に向かい,12月14日宿願を遂げた。競ったR.スコットらに先立つこと35日であった。…

【北極】より

…33年後に日記や未現像フィルムが発見された。デ・ロングのジャネット号の漂流にヒントを得たノルウェー人F.ナンセンは耐氷木造船フラム号を造り,1893年9月にジャネット号の沈没地点付近から氷とともに漂流した。船は95年2月には北緯84゜近くに達したが,これ以上の漂流による北進は望みなしと判断したナンセンは隊員1名と犬ぞり(橇)とボートでさらに北進した。…

※「フラム号」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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