ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブカラム・オルティス」の意味・わかりやすい解説
ブカラム・オルティス
Bucaram Ortíz, Abdalá
エクアドルの政治家,スポーツ選手。大統領(在任 1996~97)。レバノン系移民の息子として生まれ,運動能力に秀で,1972年のミュンヘン・オリンピック競技大会ではエクアドル代表として障害競走に出場。体育学の学位を取得後,グアヤキル州立大学で法学学位を取得。おじのアッサド・ブカラムが中道左派のポピュリスト政党,人民勢力結集党の党首に就任したのを機に,政界に関心を転じた。1982年左派政党エクアドル・ロルドス党を設立。2年後にグアヤキル市長に当選した。1984~92年の 2期に及ぶ在任中は批判が絶えず,賄賂を強要したとして財界の非難を浴びた。1985年に軍批判のかどで逮捕状が出され,パナマに亡命。1987年に帰国を許されると,1988,1992年と 2度にわたり大統領選挙に立候補した。3度目となる 1996年の大統領選挙では,型破りな選挙スタイルと財界批判で国民の大半を占める貧困層の支持を集め,社会福祉と住宅建設という公約も歓迎され,大差で勝利を収めた。しかし 就任後まもなく支持率が低下。エクアドルの通貨スクレのドル連動を目指す政策や,親類縁者を閣僚に登用した人事などに批判が集中した。大統領就任からわずか半年後の 1997年2月,議会は統治能力不足を理由に不信任決議を可決,ブカラムはパナマに逃れた。2005年に最高裁判所がブカラムへの訴追を棄却すると,追放から 8年後に帰国を果たしたが,公金横領罪による訴追が改めて提起され,再びパナマに亡命した。
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