ブノワ賞(読み)ブノワショウ(英語表記)Prix Benois De La Dance

デジタル大辞泉 「ブノワ賞」の意味・読み・例文・類語

ブノワ‐しょう〔‐シヤウ〕【ブノワ賞】

ロシアの国際ダンス連合が主催する、バレエの賞。1992年創設。前年度作品対象とし、顕著な功績のあったダンサー振付師・作曲家・舞台美術家などに与えられる。名称バレエリュスの舞台美術家のブノワにちなむ。ブノワ舞踊賞。

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知恵蔵 「ブノワ賞」の解説

ブノワ賞

前年度1年間に世界中で上演されたバレエ作品で素晴らしい功績を残したダンサーや振付家、作曲家、舞台美術家、ジャーナリストなどに贈られる賞。「ブノワ」は、バレエ・リュスなどで舞台美術家として活躍した画家、アレクサンドル・ブノワにちなんだ名称。バレエ界のアカデミー賞表現されることも多いが、アカデミー賞がアメリカ映画を対象としているのに対して、ブノワ賞は全世界で上演されたバレエ作品を対象としている。
振付家であるユーリー・グリゴロービチが代表を務めるインターナショナル・ダンス・アソシエーション(現在のインターナショナル・ダンス・ユニオン)によって1992年に初めて開催され、その後毎年行われている。4月29日のユネスコの関連団体が定めた国際ダンス・デーにノミネート発表、5月にモスクワボリショイ劇場で授賞式とガラ・コンサート(受賞者による見せ場部分の上演等のコンサート)が行われる。
審査員はユーリー・グリゴロービチを審査委員長として、他は毎年替わり、世界中の著名なダンスカンパニー(バレエ団)の芸術監督やスターダンサー、教育者などから選ばれる。日本人では、2008年に当時の新国立劇場舞踊芸術監督・牧阿佐美が務めた。
これまでの受賞者をみると、振付家としては、ジョン・ノイマイヤー、イリキリアン、ローラン・プティ、カロリン・カールソン、ナチョ・デュアト、ウイリアム・フォーサイスなど、ダンサーとしては、シルヴィ・ギエムセルゲイ・フィーリン、ミハイル・バリシニコフ、ウリヤーナ・ロパートキナ、ウラジミール・マラーホフ、アリーナ・コジョカル、マニュエル・ルグリと、名実ともに現代を代表するバレエ界のスターたちが並ぶ。
2014年に全部門通して初めて日本人が受賞。スウェーデン王立バレエの木田真理子で、マッツ・エック振付「ロミオとジュリエット」のジュリエット役での繊細な表現が評価された。なお同年は、他に女性ダンサーではユニクロのCMに起用されているポリーナ・セミオニワが、男性ダンサーではエルマン・コルネホ、振付家としてはアレクセイ・ラトマンスキーが受賞している。

(菘(すずな)あつこ  フリーランス・ライター / 2014年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブノワ賞」の意味・わかりやすい解説

ブノワ賞
ぶのわしょう
Prix Benois de la Danse

世界的に権威のあるバレエの賞の一つ。ブノワ舞踊賞ともいう。前年度に世界中で上演されたバレエ作品を対象に、秀でた功績を残したダンサーをはじめ、振付師、作曲家、舞台美術家などに授与される。バレエ界のアカデミー賞とも称され、受賞者は名実ともに現代のバレエ界を代表する存在として認められる。1992年にロシアのインターナショナル・ダンス・アソシエーション(現在の主催者である国際ダンス連合International Dance Unionの前身)が創設した。主催団体の代表が審査委員長を務め、その他の審査委員は毎年世界中の著名なバレエ団の芸術監督や教育者、スターダンサーなどから選ばれる。賞の名称は、バレエの歴史上もっとも重要なバレエ団の一つとされるロシア・バレエ団で20世紀初頭に活躍した、舞台美術家・画家のブノワAlexandre Benois(1870―1960)にちなむ。毎年、国際ダンスデーの4月29日に候補者が発表され、5月にモスクワのボリショイ劇場で受賞者の発表とガラ公演が行われる。

 2014年(平成26)には、スウェーデン王立バレエ団で第1ソリストを務める木田真理子(1984― )が、「ロミオとジュリエット」のジュリエット役での表現を評価されて女性ダンサー部門を受賞。全部門において、日本人として初の受賞となった。

[編集部]

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知恵蔵mini 「ブノワ賞」の解説

ブノワ賞

ロシアの世界的に権威のあるバレエ賞の一つ。1992年創設。同国を代表する振付家ユーリー・グリゴロービッチが代表を務める国際ダンス連合(モスクワ)の主催により、毎年、前年に最も活躍したダンサーや振り付け師などのバレエ関係者に贈られる。シルビー・ギエムやモーリス・ベジャールなど多くの著名ダンサーが受賞している。2014年5月には、スウェーデン王立バレエ団所属の木田真理子が最優秀女性ダンサー賞を受賞。全部門を通じて、日本人では初の同賞受賞となった。

(2014-5-29)

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