略称PC.炭酸とグリコールまたは二価フェノールとからなるポリエステルで,一般式で表される(Rは二価の脂肪族または芳香族炭化水素基で,狭義にはビスフェノールAとホスゲンから得られるポリカーボネートをさす).-O-CO-O-結合をもつ線状重合体は,1956年,西ドイツBayer社のH. Schnellによって合成された.代表的製法としては,エステル交換法とホスゲンによる重縮合とがあり,たとえば,ビスフェノールとジフェニルカルボナートの過剰とを180~220 ℃ に加熱し,2.7~4.0 kPa の減圧でフェノールを反応系外に除去する.必要に応じて触媒を添加する.重合度の非常に大きなものは得がたいが,逆に成形性のよいものが得られる傾向がある.
ビスフェノールとホスゲンの反応では塩化水素が脱離するので,その捕集剤を共存させる必要があり,アルカリ水溶液系やピリジン系で行う方法がある.工業的には前者が採用されているようである.機械的性質,耐候性,耐熱性がすぐれ,寸法安定性がよく,難燃性,透明であるが,わずかながら吸湿性がある.メタノール,ケトン,エーテル,芳香族炭化水素などの有機溶剤に対する耐溶剤性はあまりよくない.また,ジクロロメタン,ジオキサン,クロロベンゼンなどが好溶媒である.寸法安定性のよい点を利用して,機械部品,電気部品,写真フィルムベース,光記録材料(CD)などに利用できる.[CAS 24936-68-3]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
ドイツのバイエル社で1956年に初めて合成された比較的新しい熱可塑性樹脂。透明で硬く,最も耐衝撃性にすぐれた樹脂であり,レンズ,有機ガラス,光ディスク材料,ヘルメット,保護具,カバー類などに用いられる。また,耐熱性,電気特性がよく,成形品の寸法安定性がよいため,コネクターや電子機器部品に適している。工業的には,ビスフェノールAのアルカリ溶液にホスゲンを反応させ,低分子量のポリカーボネートをつくり,さらに重合を進めて,分子量2万~10万の樹脂をつくる。
樹脂は洗浄,乾燥後,ペレット化し,押出成形によってシートにしたり,射出成形によって成形品とする。ポリマー融液は一般に粘度が高く,成形は比較的高温(295~325℃)で行われる。成形時の収縮は非常に小さい。樹脂の物性は表に示すとおりであるが,欠点として,耐溶剤性(とくにハロゲン系溶剤に対して)の悪いことがあげられる。
執筆者:森川 正信
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
カーボネート結合(炭酸エステル結合ともいう)‐O‐R‐O‐CO‐を主鎖にもつ重合体(ポリマー)で、ポリエステルの一種。1956年にドイツのバイエル社のシュネルH.Schnellにより初めて合成された。実用化されているものは、ビスフェノールAのナトリウム塩とホスゲンから得られる、芳香族のポリカーボネートである。ホスゲンを用いないエステル交換法もあるが、日本ではホスゲン法が採用されている。無色ないし淡黄色透明の材料で、引張り強さ、曲げ強さ、耐衝撃性が大きく、その性質は金属材料に匹敵している。耐水性と耐酸性はよいが、耐アルカリ性は小さい。エンジニアリング・プラスチックの代表的なものとして成長を続けてきた。家電、電子通信、精密機器、自動車などの分野で構造材料、機能材料として広く使われている。最近ではコンパクトディスクの材質に使用されている。
[垣内 弘]
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出典 リフォーム ホームプロリフォーム用語集について 情報
…エンプラと略称されることもある。代表的なものとしては,ポリアセタール,ポリアミド(ナイロン),ポリエステル(PBT),ポリカーボネート,変性PPO(商品名ノリル)があり,汎用エンジニアリングプラスチック(汎用エンプラ)と呼ばれる。エポキシ樹脂,シリコーン樹脂のような熱硬化性樹脂,より耐熱性の高いポリアリレート,PPS,ポリイミド樹脂なども含まれる。…
※「ポリカーボネート」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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