改訂新版 世界大百科事典 「ブレンディング」の意味・わかりやすい解説
ブレンディング
blending
性質の異なる粉粒体または液体を混ぜ合わせること。鉱石その他の粉粒体のブレンディングにはやや異なった二つの意味合いと目的がある。その一つは,性質あるいは品質の異なる2種以上の粉粒体を,特定の比率で合一することである。この操作は配合とも呼ばれる。他の一つは,2種以上の粉粒体あるいは品質変動をもつ粉粒体を,より安定した品質をもつ粉粒体に変えることである。この操作は均一化homogenizationとも呼ばれる。
鉱石類(鉄鉱石,非鉄金属鉱石,非金属鉱石,石炭など)のブレンディングには,野天または屋根掛けを施した土場(どば)を用いる方法と,特殊な大型容器を用いる方法とがある。土場によるブレンディングはヤードブレンディングyard blendingと呼ばれ,その中で最も一般的な方法はベッドブレンディングbed blendingである。ベッドブレンディングは,数十万tあるいはそれ以上の大量の鉱石類を,長方形または環状の土場に層状に振りまき,安息角によって形成された三角形または台形の断面をもつ堆積物(ベッド)を端から回収し,均質化をはかる方法である。大型容器によるブレンディングはやや規模の小さい場合に多く用いられ,ビンブレンディングbin blending,バンカーブレンディングbunker blendingなどと呼ばれている。均一化に使われるビン(バンカー,サイロ,ホッパー)の形式には,単一の特殊容器と,仕切り壁によって多数の区画に分けられた容器によるものとがある。前者は安息角を利用して層状に粉粒体を容器内に装入し,容器の底部に設けられた排出装置によって層を横切るように粉粒体を払い出し,品質の平均化をはかるという原理のものが一般的である。スリットバンカーslit bunkerはその代表例といえる。後者はセルバンカーcell bunkerと総称され,仕切られた容器の各区画(セル)に原料を順次に(または振りまいて)装入し,すべて(または一つ)の区画から払出しを行うことによって平均化された粉粒体を得るものである。オルガンパイプバンカーはその一例である。
最近は石炭供給基地(コールセンター)などを中心に大型容器開発の気運が高まり,すでに1基の容量が数万tに及ぶものが製造されている。これらを多数組み合わせたブレンディングシステムの出現が予想される。
執筆者:井上 外志雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報