ブロシャン銅鉱(読み)ぶろしゃんどうこう(その他表記)brochantite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブロシャン銅鉱」の意味・わかりやすい解説

ブロシャン銅鉱
ぶろしゃんどうこう
brochantite

銅の二次鉱物の一つ。地表での硫化銅鉱物を主とする鉱石の分解によって生成される。自形は柱状ないし針状。層状や皮膜状の集合をなす。日本では秋田県協和町(現、大仙(だいせん)市協和)荒川鉱山閉山)、静岡県下田市河津(かわづ)鉱山(閉山)などのものが有名。原鉱物との直接共存例は少ない。外観や鉱物組合せだけからでは、ほかの銅二次鉱物と区別しがたいこともある。2種類の多型(ともに単斜)が存在し、両者は普通に混在して産する。諸属性はすべて二相に共通。英名フランスの鉱物学者ブロシャン・ド・ビリエAndré Jean-Marie Brochant De Villiers(1772―1840)にちなむ。硫酸銅鉱という和名もあったが、化学成分の共通する硫酸第二銅の鉱物が何種類もあるので、現在は不適当とされている。

加藤 昭 2018年7月20日]


ブロシャン銅鉱(データノート)
ぶろしゃんどうこうでーたのーと

ブロシャン銅鉱
 英名    brochantite
 化学式   Cu4[(OH)6|SO4
 少量成分  ―
 結晶系   単斜
 硬度    3.5~4
 比重    4.09
 色     緑~暗緑
 光沢    ガラス
 条痕    淡緑
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目を参照

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブロシャン銅鉱」の意味・わかりやすい解説

ブロシャン銅鉱
ブロシャンどうこう
brochantite

単斜晶系の鉱物。 Cu4SO4(OH)6 。水胆礬ともいう。エメラルド緑ないし暗緑色で,ガラス光沢を示す。比重 3.97,硬度 3.5~4。フランスの鉱物学者 A.ブロシャン・ド・ビリエにちなんで命名された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android