日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブロンネン」の意味・わかりやすい解説
ブロンネン
ぶろんねん
Arnolt Bronnen
(1895―1959)
ドイツの劇作家、小説家。本名はアルノルト・ブロンナーArnolt Bronner。ブレヒトとの親交のなかで、『父親殺し』(1920、初演1922)、『青春の誕生』(1922)など、若い世代の反逆を描いた典型的な表現主義戯曲を発表し、不安な世情のなかで大きな反響をよんだ。1920年代後半は、放送という新しいメディアに携わるとともに、ナチズムに接近、入党した。ナチス時代にも、ラジオとテレビの分野で指導的な役割を果たしたが、30年代末から反ナチに転じ、執筆禁止ののち郷里のオーストリアで地下抵抗運動に身を投じた。敗戦後は東ドイツに移り、波瀾(はらん)に満ちた生涯を自伝『ブロンネンの調書』(1954)に再現した。
[池田浩士]