プランクの放射式(読み)プランクのほうしゃしき(その他表記)Planck's formula of radiation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プランクの放射式」の意味・わかりやすい解説

プランクの放射式
プランクのほうしゃしき
Planck's formula of radiation

温度 T の黒体放射のエネルギースペクトル u(ν,T) に対して,1900年に M.プランクが導いた関係式をいう。ただし ν は熱放射の振動数である。プランクはウィーンの放射式の修正を試み,すべての振動数領域に対して実験値とよく一致する次のプランクの放射式 (プランクの公式ともいう) を得た。

u(ν,T)=(8πhν3/c3)/{ exp (hν/kT)-1}

ただし,c は真空中の光速度,kボルツマン定数,hプランク定数である。プランクの放射式から,低温高振動数領域ではウィーンの放射式が,高温低振動数領域ではレイリー=ジーンズの放射式近似として導き出される。またνについて積分すると,シュテファン=ボルツマンの法則が得られる。もともとプランクは,すべての実験値とよく一致する関係式を得ることを目的としただけであった。しかし,この式を検討すると「振動数 ν の振動子のエネルギーの放出吸収は連続的ではなく,hν を単位とする不連続な量の放出・吸収だけが許される」と仮定せざるをえない。この意味で hν をエネルギー量子という。このプランクの仮定は量子仮説と呼ばれているが,エネルギーの連続性を基盤とする古典物理学自然観とはっきり対立する。この考えは原子物理学発展と結びついて,新しい法則である量子論を生み出す第一歩となった。

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世界大百科事典(旧版)内のプランクの放射式の言及

【統計力学】より

…この放射式は高振動数側ν→∞では実験とあうから,U→0で∂2S/∂U2=-(aνU)-1はよいが,低振動数側ν→0では測定値と40~50%の食違いを生じ,むしろU→∞で∂2S/∂U2∝-U-2となることが判明した。プランクは(∂2S/∂U2)-1Uの二次式で内挿し,∂S/∂U=1/Tからプランクの放射式を得た。実験とよくあったが,問題はそれを与えるエントロピーの形を一義的に与える基礎である。…

※「プランクの放射式」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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