日本大百科全書(ニッポニカ) 「プレシェレン」の意味・わかりやすい解説
プレシェレン
ぷれしぇれん
Francé Prešeren
(1800―1849)
スロベニアの詩人。ウィーン大学卒業後、クラーニで弁護士を開業。1827年から詩を発表。西欧ロマン主義の洗礼を受け、洗練された詩形式を編み出してスロベニア詩の水準を高め、スロベニア標準文語の基礎を築いた。ソネット、物語詩、バラードなどスロベニア詩に新しいジャンルを導入し、それらの雛型(ひながた)をつくった。『ソネットの花冠』(1834)は豊かな情感が繊細、精巧な金細工を思わせる構成のなかに結晶した秀作。8世紀のキリスト教受容期におけるスロベニア人の同胞相戦う宗教戦争を描く『サビツァ川での洗礼』(1836)はとくに評価される。
[栗原成郎]