家庭医学館 「ヘビ咬傷」の解説
へびこうしょう【ヘビ咬傷】
毒ヘビに分類されていませんが、ヤマカガシにかまれても中毒がおこることがあります。
●毒ヘビ
毒ヘビにかまれると、その部分が焼ける感じがし、20~30分すると腫(は)れてきます。腫れは、しだいにからだの中心部に向かって広がり、ひどくなると、皮膚が暗赤色となり、水疱(すいほう)ができてきます。一昼夜くらいたつと腫れはピークを迎え、指や手をかまれた場合、腕全体から胸まで腫れることがあります。吐(は)き気(け)・嘔吐(おうと)、腹痛、下痢(げり)、血圧低下、耳下腺炎(じかせんえん)による開口障害がおこることもあります。
マムシにかまれると、霧視(むし)、複視、緑内障(りょくないしょう)などの目の症状が現われます。
過去にハブ、サキシマハブにかまれ、再びかまれると、アナフィラキシー・ショックがおこることがあります。
●ヤマカガシ
かまれて毒液が注入されると、10~60分で頭痛が始まることが多いものです。痛みは強くはなく、しびれ感程度のこともあります。発熱、嘔吐がおこることもあります。かまれた部分から出血が始まり、歯肉(しにく)、膀胱(ぼうこう)(血尿(けつにょう))、胃腸(吐血(とけつ)、下血(げけつ))、皮下、鼻、眼底、脳からの出血がおこります。放置すると、約半数に播種性血管内凝固症候群(はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん)や腎不全(じんふぜん)がおこります。
ヤマカガシのうろこの間から毒液が吹き出ることがあります。この毒液が目に入ると、結膜(けつまく)のむくみ・充血、視力障害、角膜(かくまく)のただれ・濁り、知覚のまひのほか、ときに瞳孔(どうこう)反応の消失、虹彩炎(こうさいえん)などがおこります。
[治療]
かまれた部分よりからだの中心に近い部分を幅の広いものでしばって圧迫し、できれば心臓より高い位置で固定します。かまれてから30~40分間であれば、かまれた部位を切開し、毒液を吸引します。
ただちに受診しましょう。
ヤマカガシの毒が目に入ったときは、1秒でも早く、大量の水で目を洗い、眼科を受診します。