改訂新版 世界大百科事典 「ヘラチョウザメ」の意味・わかりやすい解説
ヘラチョウザメ
paddlefish
spoonbill
Polyodon spathula
チョウザメ目ヘラチョウザメ科に属する淡水魚。北アメリカ東部の河川にすむ。頭部が大きく,鰓蓋(さいがい)は後方へ長く突出する。上あごの吻端(ふんたん)は扁平で,体の全長の1/3程度まで長くのび,へら状を呈するのでこの名がある。またその表面下には細い血管が網目状に走っている。この類は体の表面にうろこがないか,または小さなうろこが散在するだけで,チョウザメのような板状硬鱗の縦列はない。吻の腹面の触鬚(しよくしゆ)は2本で,上下両あごには小さな歯があり,これらの点でもチョウザメと異なる。全長およそ180cmに達する。餌は小型の甲殻類その他の小動物で,えらの部分でそれらをこしとって食べる。
中国の長江と黄河には近縁のハシナガチョウザメ(別名シナヘラチョウザメ)Psephurus gladiusがすむが,ヘラチョウザメが口を伸長させることができないのに対して,本種は口を前方へのばすことができる。
執筆者:日比谷 京
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報