魚卵の塩蔵したものをいうが、とくにチョウザメの卵の塩蔵品をさす。チョウザメはサメ類が属する軟骨魚類ではなく、硬骨魚類に含まれる。ロシアのキャビアは名高く、とくにカスピ海、黒海産のものは最高級品とされる。トリュフ、フォアグラとともに世界三大珍味と称される。
[金田尚志]
卵を篩(ふるい)で分け、夏季は10%、秋季は8%程度の食塩を混ぜ、数時間置いたのち水切りし、陶製または錫(すず)の缶に詰め熟成させる。また、飽和食塩水に1時間ぐらい浸漬(しんし)後、圧搾して水切りする方法もある。食塩量が少なく貯蔵性がないため5℃以下の低温に保存する。このほか、コイ、タラなどの卵を用いて同じようなものがドイツ、アメリカなどでつくられている。日本に輸入されるキャビアの大部分はデンマークのランプフィッシュ(ホウボウの仲間)からつくった模造品である。すなわち、この卵を黒色または褐色に染めてつくるが、カナッペにしたときパンに色がつくので区別できる。日本でもタラ、トビウオなどの卵を黒く染めて代用品がつくられているが、これには保存料として安息香酸または安息香酸ナトリウムの添加(1キログラム当り2.5グラム以下)が認められている。酒の肴(さかな)、オードブルに用いられる。
[金田尚志]
チョウザメ類の卵の塩蔵品。卵巣をとり出してもみほぐし,卵膜を除いてばらばらにした卵粒を塩漬にして熟成させる。フォアグラなどとならぶ珍味とされ,瓶詰,缶詰にしたものが多い。カスピ海産のものが最も有名で,その大部分はボルガ川河口のアストラハンで採取,製造される。普通うすい黒灰色で粒の大きいものが良品とされるが,緑色や金色のものもあり,金色のものは希少で珍重される。氷を入れた器に盛って黒パン,レモンなどを添えてオードブルとし,また,カナッペ,スープの実,冷製料理の飾りなどにする。卵粒に分けない筋子状のものや圧搾したからすみ状のものもあり,タラなどを用いた代用品もつくられている。また,キャビアの大部分を外貨獲得のため輸出しているロシアでは,乳タンパク質からつくった人造キャビアによって国内の消費を賄っていると伝えられる。
執筆者:平野 雄一郎
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…飲物としては麦芽を発酵させてつくるクワス,蜜酒,ビールが愛好され,ややおくれてウォッカがこれに加わった。各種の獣肉,鳥,魚も早くから食されたが,チョウザメの卵であるキャビアが本格的にロシア料理に取り入れられたのは,16世紀後半にカスピ海に注ぐボルガ川の下流がロシアの領土に組み入れられてからである。 宮廷の献立は17世紀から知られる。…
※「キャビア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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