キャビア(読み)きゃびあ(その他表記)caviare

デジタル大辞泉 「キャビア」の意味・読み・例文・類語

キャビア(caviar)

チョウザメの卵を塩漬けにした食品。酒の肴やカナッペ材料に用い、珍重される。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「キャビア」の意味・読み・例文・類語

キャビア

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] caviar(e) ) チョウザメの腹子を塩漬けにした食品。酒のさかなやカナッペ用として珍重される。ロシアの特産品として有名。
    1. [初出の実例]「カビヤと申すのは丁鮫の子を缶詰にしたのが上等ですが」(出典:食道楽‐秋(1903)〈村井弦斎〉附録)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キャビア」の意味・わかりやすい解説

キャビア
きゃびあ
caviare

魚卵の塩蔵したものをいうが、とくにチョウザメの卵の塩蔵品をさす。チョウザメはサメ類が属する軟骨魚類ではなく、硬骨魚類に含まれる。ロシアのキャビアは名高く、とくにカスピ海、黒海産のものは最高級品とされる。トリュフフォアグラとともに世界三大珍味と称される。

[金田尚志]

製法

卵を篩(ふるい)で分け、夏季は10%、秋季は8%程度の食塩を混ぜ、数時間置いたのち水切りし、陶製または錫(すず)の缶に詰め熟成させる。また、飽和食塩水に1時間ぐらい浸漬(しんし)後、圧搾して水切りする方法もある。食塩量が少なく貯蔵性がないため5℃以下の低温に保存する。このほか、コイタラなどの卵を用いて同じようなものがドイツ、アメリカなどでつくられている。日本に輸入されるキャビアの大部分デンマークランプフィッシュホウボウの仲間)からつくった模造品である。すなわち、この卵を黒色または褐色に染めてつくるが、カナッペにしたときパンに色がつくので区別できる。日本でもタラ、トビウオなどの卵を黒く染めて代用品がつくられているが、これには保存料として安息香酸または安息香酸ナトリウムの添加(1キログラム当り2.5グラム以下)が認められている。酒の肴(さかな)、オードブルに用いられる。

[金田尚志]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「キャビア」の意味・わかりやすい解説

キャビア
caviar

チョウザメ類の卵の塩蔵品。卵巣をとり出してもみほぐし,卵膜を除いてばらばらにした卵粒を塩漬にして熟成させる。フォアグラなどとならぶ珍味とされ,瓶詰,缶詰にしたものが多い。カスピ海産のものが最も有名で,その大部分はボルガ川河口のアストラハンで採取,製造される。普通うすい黒灰色で粒の大きいものが良品とされるが,緑色や金色のものもあり,金色のものは希少で珍重される。氷を入れた器に盛って黒パン,レモンなどを添えてオードブルとし,また,カナッペ,スープの実,冷製料理の飾りなどにする。卵粒に分けない筋子状のものや圧搾したからすみ状のものもあり,タラなどを用いた代用品もつくられている。また,キャビアの大部分を外貨獲得のため輸出しているロシアでは,乳タンパク質からつくった人造キャビアによって国内の消費を賄っていると伝えられる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キャビア」の意味・わかりやすい解説

キャビア
caviar

チョウザメの卵の塩蔵品で,カビアともいう。世界の珍味として賞味されている。チョウザメ以外にサケ,タラ,コイなどの魚卵からも同じようにしてつくられているが,この代用品もキャビアと呼ばれることが多い。新鮮な魚体から卵をとり,卵粒をより分けて夏季は 10%,秋季は 8%前後の乾燥塩を加えて漬け込み,低温で熟成させる。卵粒を飽和食塩水に短時間漬込んでつぶし,樽詰めしたものもあるが,これは保存性はあるが塩気が強すぎる。非常に高価なものであるが,酒の肴(さかな)によく,カナッペやサンドウィッチの材料に好適である。大正時代後半,亡命ロシア人が高級ロシア料理として日本に紹介し,日本人に親しまれるようになった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「キャビア」の意味・わかりやすい解説

キャビア

チョウザメの卵の塩漬で世界的な珍味とされる。普通はうすい黒灰色だが,緑色や金色のものもある。冬季,黒海,カスピ海方面の川でとれるものの卵が最高といわれ,8〜10%の食塩水で熟成して作る。オードブル,カナッペ,酒のさかな等に用いられる。
→関連項目トリュフロシア料理

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

栄養・生化学辞典 「キャビア」の解説

キャビア

 本来,魚の卵を指すが,近年はチョウザメ[Acipenseser spp.]の卵の塩蔵品を指す場合が多い.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のキャビアの言及

【ロシア料理】より

…飲物としては麦芽を発酵させてつくるクワス,蜜酒,ビールが愛好され,ややおくれてウォッカがこれに加わった。各種の獣肉,鳥,魚も早くから食されたが,チョウザメの卵であるキャビアが本格的にロシア料理に取り入れられたのは,16世紀後半にカスピ海に注ぐボルガ川の下流がロシアの領土に組み入れられてからである。 宮廷の献立は17世紀から知られる。…

※「キャビア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android