ベッチ
vetch
飼料や緑肥として利用されるマメ科の植物。おもにソラマメ属Viciaの植物をさすが,このほかにゲンゲ属Astragalusのゲンゲ(レンゲソウ)などもミルクベッチmilk vetchと呼んで同類に含める。飼料用あるいは緑肥用に利用されるベッチのおもなものには次のような種がある。
(1)コモンベッチ(オオカラスノエンドウ)V.sativa L. ザートウィッケとも呼ぶ。ヨーロッパ~西アジア原産の一・二年草。茎は長さ2~3mに伸び,地上をはう。葉の付けねに1~2個の紅色の花が咲く。飼料作物として栽培されるが,各地に野生化している。
(2)ヘアリーベッチ(ビロードクサフジ)V.villosa Roth.(英名hairy vetch) スムースベッチとも呼ばれ,ヨーロッパ原産の一・二年生の飼料作物。葉の付けねから長い柄が伸び,多数の花が房状に咲く。
(3)バードベッチ(クサフジ)V.cracca L.(英名bird vetch) 多年草で北半球の温帯から亜寒帯に広く分布する。
執筆者:星川 清親
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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ベッチ
べっち
vetch
マメ科(APG分類:マメ科)ソラマメ属Viciaの多くの種の総称で、おもに茎葉を飼料とする。コモンベッチとヘアリーベッチがもっとも主要である。コモンベッチcommon vetch/V. sativa L.はドイツ語名をザートウィッケンSaatwickenといい、和名をオオヤハズエンドウ(オオカラスノエンドウ)という。マメ科の一、二年草。ヨーロッパから西アジアにかけての地域原産で、紀元前から飼料として栽培された。種子を秋に畑に播(ま)き、初夏に収穫する。10アール当り約2トンの生草収量がある。緑肥としても優れている。
ヘアリーベッチhairy vetch/V. villosa Roth.は西アジアから地中海東部原産の二年草。和名をビロードクサフジという。葉はコモンベッチより細く、茎葉に毛が多く、花は青紫色で、葉腋(ようえき)から出た花茎に、約30個つく。コモンベッチよりやせ地に生え、耐寒性も夏の暑さにもより強く、花期はやや遅い。山間地や牧草地などで、コモンベッチより粗放な栽培に用いられている。
[星川清親 2019年11月20日]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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ベッチ Vetch, Agnes
1845-1945 イギリスの看護婦。
明治19年(1886)来日。トルー夫人がはじめた桜井女学校看護婦養成所や帝国大学医科大学第一医院で看護法をおしえ,看病術を実地に指導した。21年離日。享年100歳。ナイチンゲール看護婦学校卒。
出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例
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普及版 字通
「ベッチ」の読み・字形・画数・意味
【
地】べつち
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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世界大百科事典(旧版)内のベッチの言及
【カラスノエンドウ(烏豌豆)】より
…北海道,本州,九州に生え,北半球の温帯から亜寒帯に広く分布する。 カラスノエンドウの仲間(ソラマメ属Vicia,英名vetch)は,北半球の温帯域を中心に150種あまりが分化し,食用にされる[ソラマメ]をはじめ,飼料にされる[ベッチ]類や緑肥としても重要な植物が含まれる。【大橋 広好】。…
※「ベッチ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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