改訂新版 世界大百科事典 「ベルゴーリツ」の意味・わかりやすい解説
ベルゴーリツ
Ol'ga Fyodorovna Berggol'ts
生没年:1910-75
ソ連邦の女流詩人。ペテルブルグの医師の娘で,レニングラード大学を卒業した。ジャーナリストとして活動し,青少年向けの短編で出発した。1930年代中期から詩人として認められたが,37年トロツキストとの関係を問われて投獄された。この体験が彼女の詩の独自性の形成に大きな意義をもった。第2次大戦中は包囲下のレニングラードにとどまり,長詩《2月の日記》(1942)などの傑作を発表した。スターリン死後の53年には〈自己表現〉としての抒情詩の復活を論じ,文壇の〈雪どけ〉気運を大きく盛りあげた。粛清時代の感情体験を歌った詩集《試練》(1956),抒情的散文のジャンルに新しい境地を開いた自伝ふうの長編《昼の星》(1959)が戦後の代表作である。
執筆者:江川 卓
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報