朝日日本歴史人物事典 「ベルタン」の解説
ベルタン
生年:1840.3.23
フランス海軍士官,海軍造船家。ナンシー市生まれ。1858年パリのエコール・ポリテクニックの海軍技術部に入った。艦船の通風装置,動揺安定装置,対弾防壁,浸水防止区画などを設計して功績をあげ,世界の製艦技術発展に貢献した。1885年海軍のお雇い外国人として日本に招かれ,軍艦の企画・設計・建造を指導し海軍顧問として4年間滞在し,海軍の近代化に貢献した。日清戦争に先立ち,優勢な清国海軍に,備砲・速力ともに十分に対抗できる三景艦「松島」「厳島」「橋立」,快速通報艦「八重山」および巡洋艦「千代田」を設計,黄海海戦では,それらの活躍で清国のドイツ製艦「定遠」「鎮遠」など5艦が撃破された。また横須賀の他に,呉,佐世保に工廠を建設すべきことを提案し,実現させた。帰国後1890年ツーロン1等海軍技師となり,95年海軍省技術局長を務めた。法律,歴史などの分野にも才を発揮し1871年法学博士。96年著書『日本の内乱』がアカデミー賞を受賞。1903年科学学士院会員,05年退役。日本政府は明治28(1895)年勲1等瑞宝章を贈った。<著作>『近代海軍論』<参考文献>高橋邦太郎『お雇い外国人(軍事)』,篠原宏『日本海軍お雇い外国人』
(影山好一郎)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報