改訂新版 世界大百科事典 「ベーコンの反乱」の意味・わかりやすい解説
ベーコンの反乱 (ベーコンのはんらん)
Bacon's Rebellion
1676年,北アメリカのバージニア植民地で起こった農民反乱。反乱者の主力は農民と解放民(年季明けの奉公人)で,黒人奴隷も加わり,ベーコンNathaniel Bacon(1647-76)がこれを指揮した。彼らは総督W.バークリーの寡頭支配とくにインディアンに対する宥和政策に不満を抱き,インディアンに保留された土地の開放を強く要求した。ささいな紛争からこれに無関係のサスケハノック族14名を殺した彼らは,復讐にでたサスケハノック族だけでなく全インディアンの撲滅を唱え,辺境の新興プランターで参事会員のベーコンを指揮官に擁立した。ベーコンは総督にインディアン討伐軍司令官に任命するよう強要したが,総督はこれを拒否して軍を動員した。ベーコンは主都ジェームズタウンを焼き,一時総督軍を制圧し権力を掌握したが,76年10月に病死した。総督軍は反撃に転じ,77年1月ベーコン軍を降伏させた。反乱の結果,バークリーの寡頭政は倒れ,権力は広範なプランター層の握るところとなり,開放された土地の分け前にあずかった農民を体制側に組み込み,黒人を奴隷制の下に束縛する基礎を固めた。
執筆者:富田 虎男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報