日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホシザメ」の意味・わかりやすい解説
ホシザメ
ほしざめ / 星鮫
軟骨魚綱メジロザメ目ドチザメ科の属の総称、またはその1種の名称。ホシザメ属Mustelusは第1背びれが腹びれと胸びれの間にあること、歯が丸みを帯び、細かく敷石状に配列すること、尾びれ下葉があまり張り出さないことなどが特徴である。世界に29種ほど知られ、日本近海にはホシザメM. manazoのほかにシロザメが分布する。
種としてのホシザメ(英名starspotted smoothhound)は体に小白色点をもつことで簡単にシロザメと識別可能であるが、老成したホシザメは白色点が不明瞭(ふめいりょう)になり、ときに消失する。しかし、ホシザメの上顎(じょうがく)口角部にある溝が、下顎のものよりかなり長いことで区別できる(シロザメは上下両顎の溝が同長)。ホシザメ属内の生殖方法は胎盤型と非胎盤型の胎生が知られているが、ホシザメは非胎盤型の粘液組織栄養型の胎生である。全長1.3メートルほどになる。雌は南の海域では64センチメートルで、北の海域では1メートルほどで成熟する。妊娠期間は南では10か月程度、北では15か月ほどである。最大で22尾の子を、春に出産する。北海道以南の日本各地、朝鮮半島の海域、東シナ海、南シナ海などに分布する。肉は白身で、刺身、ぬたなどにされ、高級練り製品の原料ともなる。国際自然保護連合(IUCN)のレッド・リストでは、絶滅危惧(きぐ)種中の「危機」(EN)に指定されている(2021年9月時点)。
[仲谷一宏 2021年10月20日]