知恵蔵 「ホールボディカウンター」の解説
ホールボディカウンター
ホールボディカウンターは、放射線が特定の物質に当たると光を発する性質を利用するNaI(TI)シンチレーション検出器、または放射線が物質をイオン化する性質を利用するゲルマニウム半導体検出器を搭載している。NaIシンチレーション検出器による装置は数分間でガンマ線を測定することができ、スクリーニングによく用いられる。一方、ゲルマニウム半導体検出器による測定では、セシウム-137、マンガン-54、コバルト-60といったガンマ線を放出する核種をより正確に知ることができる。いずれの検出器による場合でも、自然環境中にある宇宙線などの放射線を避けるために、鉛や鉄で完全に遮蔽(しゃへい)された空間で測定しなければならない。
身体内部の放射性物質から持続的に低線量の放射線が放出されて身体の各組織が影響を受けることを、内部被曝(ひばく)、または低線量被曝と言い、その程度を知るためにホールボディカウンターによる測定は不可欠だが、数値については、測定環境やそれぞれの核種の被曝推定日時、摂取経路、被験者の体格・体重など、様々な条件を勘案して判断する必要がある。
(石川れい子 ライター / 2012年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報