翻訳|shielding
シールドともいう。電界,磁界,光,放射線,音,熱などの影響が対象物に及ばないようにすること。一般的にはこれらが透過しにくいもので覆えばよい。以下では電磁気的遮へいについて述べる。
電流が流れればその周辺に磁界が,電圧をかければ電界が発生し,電気火花や急激な電圧,電流の変化が起これば電波が発生する。これらは周辺の電気回路に影響を与え,これを意図的に用いる場合のほかは各種の妨害となる。そこで,妨害の発生側,妨害から保護したい装置,伝送線路などを遮へいの対象に選び,妨害を防止する。
電界からの遮へい(静電遮へい)には導体の網で包み,網を接地すればよい。磁界からの遮へい(磁気遮へい)には鉄板などの強磁性材料で包み,磁束が通り抜けないようにすればよいが,理想的な強磁性材料がないため,遮へい用材料を大量に使わないと十分な効果が得られない。変化する電流などによる電磁界からの遮へい(電磁遮へい)が工学上はもっとも重要で,抵抗の少ない導体で包み,接地するか基準電位の点に接続する。静電遮へいの場合と異なり遮へい用導体には電磁界を打ち消すための誘導電流が流れるので,抵抗の小さい材料や工作法を選ぶことが肝要である。電気機器や装置は箱に遮へいの機能をもたせることが比較的容易であるが,装置どうしを接続する信号線や電力線も妨害の授受に大きな影響を与える。このため,何本かの電線の外側をやわらかい編銅線でくるみ外側をゴムなどでかぶせた遮へいケーブルが用いられる。光が入らないように作る暗室と同様に,電気的,磁気的に外界の影響を受けないように作られた室を遮へい室という。目的により電波暗室などと呼ばれ,精密な測定,実験などに用いられる。また,送電鉄塔などの最上部に碍子(がいし)を経ずに取り付けられている線を架空地線といい,これは送電線を雷から遮へいし,送電線への直接の落雷を防止する働きをするものである。
執筆者:曾根 悟
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…分析化学用語。遮へい(蔽),隠ぺいともいう。化学反応において目的の反応を妨害する物質が共存するとき,他の物質を加えるなどしてその妨害を取り除くこと。たとえばCu2+とAl3+が共存する試料中のCu2+のみを分析したいとき,そのままでは合量が分析にかかるが,F-を加えるとAl3+はF-と強く結合するので,Cu2+のみを分析することができる。その他の方法として妨害物質の酸化状態を変える方法がある。Cu2+とZn2+をEDTAで滴定するとき,チオ硫酸ナトリウムを加えるとCu2+のみが還元されてCu+になってEDTAと反応せず,Zn2+だけが滴定できる。…
※「遮蔽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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