身体の内側から被曝すること。
放射性物質からの放射線に曝露することを「放射線被曝」といい、身体の外からの被曝を「外部被曝」、身体の中に入った放射性物質からの被曝を「内部被曝」という。
身体の中に放射性物質が入る例としては、空気中の放射性物質を呼吸によって吸い込むこと、放射性物質が含まれている食料品の飲食が主たる経路であるが、皮膚に付着した放射性物質が吸収される場合や、傷口などから放射性物質が入ることもある。また、検査・治療において放射性医薬品が投与されることもある。なお、日本人は通常の食事をとることで平均して年間約0.99マイクロシーベルト(mSv)の被曝をしている。
なお、内部被曝のほうが外部被曝よりも危険であるという見方があるが、被曝線量が同じであれば、放射線の発生源が体外か体内かの違いであって、影響は同じである。1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故の4~5年後に小児の甲状腺(せん)がんが増加したことが知られているが、これは、放射性物質に汚染された牛乳や野菜などを食べ、とくに、ヨウ素131が甲状腺に取り込まれたことによる内部被曝がおもな原因と考えられている。そのため、内部被曝がより問題とされることになったが、重要なのは被曝線量であり、外部・内部を問わずできるだけ被曝を少なくすることが肝要である。
原子力災害などで放射性物質の拡散が想定される場合、内部被曝を少なくするためには、(1)空間放射線量の高い場所から離れる、(2)放射性物質による汚染が懸念される食品や水の摂取を控える、(3)放射性物質に汚染されている服、靴などは着用せず、シャワーなどにより付着物を洗い流すようにする、などが必要である。
[安村誠司 2020年2月17日]
(石川れい子 ライター / 2011年)
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… また,身体的障害出現の様相は,被曝した線量の大きさに左右されるばかりでなく,どのような状態で,どのような放射線による被曝を受けたかということによって,大きく変化する。そのような観点から,放射線の発生源(線源)が外部にある場合の被曝形式を外部被曝(体外被曝)と呼び,身体内に取り込まれた放射性物質によって,身体内部から被曝するような形式を内部被曝(体内被曝)と呼んで,その障害を分けて考えるほうが理解しやすい。外部被曝については,透過性の強いX線,γ線,中性子線が問題となり,α線やβ線のような透過力の弱い放射線は,皮膚障害以外は,重要な問題とならない。…
※「内部被曝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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