ホール素子(読み)ほーるそし(英語表記)Hall element

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホール素子」の意味・わかりやすい解説

ホール素子
ほーるそし
Hall element

磁場電流の相互作用によるホール効果によって、固体内で両者に直角な方向に発生する電圧を利用する素子。ホール発電器ともいう。

 もっとも簡単なホール素子は、長方形の半導体薄片の二側面に電流端子を、それらと直交する他の側面の中央部付近に電圧電極をつけ、薄片面に直角に磁束を加える構造となっている。このとき発生するホール起電力は、磁束密度、電流端子の印加電圧、キャリアの移動度に比例するので、感度のよいホール素子をつくるには、移動度の大きい半導体を用いる必要がある。ホール素子はゲルマニウムシリコンを用いてもつくることができるが、移動度の大きいインジウムアンチモン、インジウム・ヒ素、ガリウム・ヒ素などを用いると高感度の素子をつくることができる。この素子は、出力が磁場と電流の積に比例する性質などを用いて、磁場の測定や磁気センサーのほか電流計、磁気ヘッド、マイクロ波電力計などに使われる。

[右高正俊]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホール素子」の意味・わかりやすい解説

ホール素子
ホールそし
Hall element

ホール効果を応用して計測演算を行なう固体素子のことで,ホール発電器と呼ぶこともある。ホール素子はホール起電力が大きく,その温度依存性の小さい材料でつくられる。ゲルマニウム,シリコン,インジウム・アンチモン,インジウムヒ素,ヒ化ガリウムなどが用いられる。ホール起電力を大きくするために材料はできるだけ薄くすることが望ましい。大別して次の三つの使用法がある。 (1) 磁束計,変位計など磁界比例性を利用するもの。 (2) 電力計,アナログ演算器など乗算作用を利用するもの。 (3) ジャイレータ,アイソレータなど非可逆性を利用するもの。

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