改訂新版 世界大百科事典 「ボディビルディング」の意味・わかりやすい解説
ボディビルディング
bodybuilding
健康でたくましく発達した筋肉美をつくり上げること,またそのためのトレーニングをいう。マシーンとか,バーベルやダンベル(亜鈴)などのおもりやエキスパンダー,体重などを利用して全身の筋肉を鍛え,均整のとれた肉体をつくることを目的とする。今日の科学的ボディビルディングが誕生したのは,東プロイセン生れのザンドーEugen Sandow(1867-1925)に負うところが大きい。彼は幼少のころイタリアを旅行し,古い裸体の彫像をみて,そのみごとな筋肉美にいたく感動したのが動機となって,18歳のとき解剖学を学び,個々の筋肉の働きに応じたトレーニング法を開発した。彼は厳しいトレーニングの結果,1891年に片手で122kg強のバーベルを頭上へさし上げて世界一の力持ちと称された。そして1890年から1905年にかけて世界各地を回ってこのトレーニングの普及に努め,その結果,ボディビルディングは世界的なブームを呼んだ。しかし彼が1925年に大動脈瘤で他界して,さしものブームも終りを告げた。その後,第2次世界大戦中にアメリカ軍が戦病兵たちのリハビリテーションにボディビルディングを採用したことなどが誘因となり,戦後アメリカ,イギリスを中心に男性の関心を集めることになった。とくに60年代に入ってから市民の体力づくり運動が盛んになり,健康づくりにも良いボディビルディングに目を向ける者が増えた。肉体美を競うボディ・コンテストはすでにイギリスで1898年に開かれている。現在世界的な規模のものとしては国際ボディビルディング連盟(IFBB)やイギリス・アマチュア・ボディビルダー協会(NABBA)が主催するそれぞれのミスター・ユニバース・コンテストが有名である。とくにIFBB主催のミスター・オリンピア・コンテストは,現在では映画俳優としても著名なアーノルド・シュワルツネッガーArnold Schwarzeneggerが長い間君臨したこともあって,人気がある。1970年代後半からは女性のボディビルディングがアメリカを中心に盛んとなり,78年に初の女子世界コンテストが開かれた。日本では1955年に誕生した日本ボディビル協会が中心となって各種コンテストを開催。
執筆者:窪田 登
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報