日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボルボース石」の意味・わかりやすい解説
ボルボース石
ぼるぼーすせき
volborthite
パイロバナジン酸塩鉱物。バナジン銅鉱ともいう。[VO4]3-型の基本基が1個の酸素原子を共有して2個重合した基本基[V2O7]4-をパイロバナジン酸基といい、これを含む鉱物を総称してパイロバナジン酸塩鉱物という。ボルボース石はバナジウム(V)を含む熱水鉱脈鉱床の酸化帯中に産し、また銅およびバナジウムに富む堆積(たいせき)岩中に微細結晶からなる集合体や皮膜をなして産する。日本では、岐阜県各務原(かかみがはら)市と愛知県犬山市にまたがる木曽川河原に露出する堆積岩中、銅およびバナジウムに富む炭質物に伴って産出する。自形はb軸方向に伸びた柱状。命名は最初にこの鉱物を発見したロシアの古生物学者フォン・ボルボルトAlexandr Fedorovich von Volborth(1800―1876)にちなむ。
[加藤 昭 2018年10月19日]