(読み)モトイ

デジタル大辞泉 「基」の意味・読み・例文・類語

もと‐い〔‐ゐ〕【基】

《「もと」の意》
建物などの土台。基礎。
物事の基礎。根本。根拠。「医学のを築く」「国のを定める」
原因。
「女の身はみな同じ罪深き―ぞかし」〈・若菜下〉
[類語]基本大本おおもと基礎根本こんぽん根幹中心基軸基調基底根底土台下地初歩いろはABC基盤基幹基部大根

き【基】[漢字項目]

[音](呉)(漢) [訓]もと もとい
学習漢字]5年
建物の土台。「基礎
物事の土台。根拠となるもの。「基金基準基地基盤基本開基国基
もとづく。「基因
化学で、原子の集団を表す語。「塩基水酸基
[名のり]のり・はじむ・はじめ
[難読]基督キリスト

き【基】

[名]化学反応の際、一つの原子のように、ある化合物から他の化合物に移動することのできる原子団。原子団の名称に付して用いる。水酸基メチル基燐酸りんさん基など。基のうちイオンになりやすいものはこんともいう。
[接尾]助数詞。機械・灯籠・墓石など、立てて据えておく物を数えるのに用いる。「ロケット発射台三」「石塔一

き【基】[人名]

[632~682]中国、唐代の僧。長安の人。法相ほっそうの開祖。玄奘げんじょうの弟子となり、師に従って「成唯識論じょうゆいしきろん」の訳経に協力、のち解釈を加えて「成唯識論述記」「大乗法苑義林章」などを著す。慈恩大師。基法師。窺基きき

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「基」の意味・読み・例文・類語

もと‐い‥ゐ【基】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「本(もと)(い)」の意 )
  2. 建物の土台。いしずえ。つちい。
    1. [初出の実例]「咸く(あむしろ)を以て舎と為し、簷(のき)(モトヰ)相ひ接はる」(出典:天理本金剛般若経集験記平安初期点(850頃))
  3. 物事の根本。根拠。根源。基礎。
    1. [初出の実例]「時に宝歴に基(モトヒ)を創めて匠を伝ふ」(出典:不空羂索神呪心経寛徳二年点(1045))
    2. 「是そ誠に君臣永不快の基(モトヒ)兄弟忽向背の初と覚へて」(出典:太平記(14C後)二八)
  4. 原因。因。
    1. [初出の実例]「女の身はみなおなしつみふかきもとゐぞかし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
  5. もといた所。住んでいた所。
    1. [初出の実例]「昔の御もといをおぼし忘れぬにやとぞ」(出典:栄花物語(1028‐92頃)玉の飾)

き【基】

  1. [ 1 ] 化学反応の場合、化学変化をしないで、一つの原子のような反応をする原子団。水酸基、硫酸基、メチル基、塩基、アンモニウム基など。〔稿本化学語彙(1900)〕
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 台や足などがあって、立てて据えておく物を数えるのに用いる。灯籠(とうろう)、几帳(きちょう)、厨子(ずし)、輿(こし)、墓石、塔婆(とうば)など。
    1. [初出の実例]「仁王般若経一部二巻。備経嚢一口。経台一基。経櫃一合」(出典:延喜式(927)二一)
    2. 「てんじゃうの二きのからびつのふたにいれて」(出典:東宮年中行事(12C後か)四月)

き【基】

  1. 中国、唐代の僧。窺基、慈恩大師ともいう。法相宗の確立者。玄奘に師事して「成唯識論」の訳に従事した。著に「成唯識論述記」等多数。(六三二‐六八二

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「基」の意味・わかりやすい解説

基 (き)
radical

類似の性質を示す一群の化合物の中に共通して存在する原子またはその集団で,化学反応に際して多くの場合変化することなく反応物から生成物に移る原子団を基という。基は多くの場合電気的に中性な原子団であるが,正または負の電荷をもつ原子団も基と呼ばれる。有機化合物がそれぞれ独特の性質をもつ基(官能基)の集まりでできているという考え方は,有機化学で重要な考え方であり,有機化学は基の化学として発達したということもできる。代表的な基としては,メチル基-CH3,エチル基-C2H5などのアルキル基,フェニル基-C6H5などのアリール基ヒドロキシル基(水酸基)-OH,カルボニル基-C=O,カルボキシル基=COOH,アミノ基-NH2などがある。基を単独に遊離した状態で取り出そうとする試みは,アメリカのゴンバーグM.Gomberg(1900)が初めてトリフェニルメチルトリチル)基(C6H53C-で成功したが,現在では多くの基が遊離の状態でも存在することが確かめられており,反応中間体として重要な役割を演じている。
遊離基
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「基」の意味・わかりやすい解説

基【き】

化学反応に際して,変化することなく一つの化合物から他の化合物へ移ることのできる原子団。たとえば水酸基−OH,アミノ基−NH2,メチル基−CH3など。→遊離基
→関連項目原子団赤外線分光分析

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「基」の意味・わかりやすい解説



group

一般に原子の集団のことで,化学反応時に,その原子集団が一まとまりになって行動する。メチル基 -CH3 ,アミノ基 -NH2 ,水酸基 -OH ,アセチル基 CH3CO- などがある。特にイオンになりやすいものを根と呼ぶ。また,なかにはイオンにならずに遊離基となるものもある。安定な遊離基も存在する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

化学辞典 第2版 「基」の解説



group

多くの化合物の分子中に共通に現れる置換基原子団.もっともありふれた基を次表に例示する.[別用語参照]遊離基

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【根】より

…化学用語。化学反応の過程でまとまって行動する原子団を一般にというが,基のうちイオンになりうるものを根ということがある。たとえば,水酸根-OH,硝酸根-NO3,硫酸根-SO4などである。【妹尾 学】…

【べき根(冪根)】より

…ある数aと自然数nについて,n乗してaとなる数をan乗根という。とくにn=2,3のとき,それぞれ平方根立方根とも呼ぶ。aの2乗根,3乗根,……,n乗根をaのべき根または累乗根という。aが正の数のとき,aはただ一つ正のn乗根をもつ。これをn (n=2のときは)で表す。記号n√,√を根号と呼ぶ。aが実数でnが奇数なら,aは実数の範囲にただ一つn乗根をもつ。これもn で表す。 一般にαが複素数のとき,複素数の範囲で考えると,αのn乗根n個ある(ただし,α=0のときは1個)。…

【遊離基】より

…フリーラジカルfree radicalまたは略してラジカルradicalともいう。通常の分子は偶数個の電子をもち,これらが対をつくっているが,遊離基には全体として奇数個の電子が含まれ,対になっていない電子(不対電子。…

【化学】より

…おおまかにいって,化学はつねに物質を取り扱うため,数学や物理学ほど抽象的にはなりえない反面,生物学ほど複雑な系を対象としないという特色がある。自然科学の各部門をより基礎的なものから順に並べると,化学は数学,物理学に次ぎ,生物学に先行する。その基礎的性格のため教育カリキュラムにおいても,初等化学に対応する内容はすでに小学校において取り扱われ,中学校,遅くとも高等学校もしくは同等の学校において〈化学〉は独立の教科目として教えられている。…

※「基」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android